流れ星1 ページ20
「じゃあ、行ってくるわね」
画面越しに見えるあなた。
画面越しに聞こえる声。
「お気をつけて、マスター」
手を伸ばそうにも、絶対に越えられない壁が阻む。
今日もマスターは、朝早くから出掛けてしまう。
仕事、というのだそうだ。
彼女は一度出掛けると、遅くまで帰ってこない。
頼りにされているらしく、次々と仕事を任されてしまい、結局毎日残業になるんだとか。
……断れない、マスターのそんな性格も、要因の一つなんだろうな。
1人、ディスプレイの中で彼女を待つ。
もっと、彼女のそばにいられたら……
画面越しなんかじゃなく、同じ世界にいられたら……
疲れて帰ってくる彼女は、パソコンを見ることもせずに寝てしまうこともある。
寂しくないと言ったら、それは嘘だ。
だけど、疲れている彼女にわがままを言って迷惑をかけることもできない。
せめて、同じ世界にいられたなら、僕が彼女に何かすることもできるかもしれないのに。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「……ただいま」
「お疲れさまです、マスター」
「知ってる?カイト。今度の月曜日の夜、流星群が見えるんだって」
「流星群、ですか?」
「うん。空に流れ星が降るんだ。ひとつの流れ星が流れている間に3回お願いことをすると願いが叶うんだって」
願いが……叶う?
「まぁ、あんまり早すぎて、3回はおろか1回も言えないからね。あってないような、おまじないというか、迷信というか……」
人間に3回言うことは無理でも、VOC@LOIDの僕にはできるんじゃないだろうか?
「流星群、楽しみですね!」
「カイトも、見たいの?」
「はい!」
「じゃあ、月曜日の夜、ね。そのときは、カイトをノートパソコンの方に移して、持っていけばいいのかな」
「そうなりますね」
「じゃあ、そうしとくね。明日も仕事だから、今日はもうお休み」
「お休みなさい、マスター」
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あかり - 糸魚川翡翠@京都より帰還さん» 翡翠ちゃんは帯人が好きなんですよね? (2016年2月29日 19時) (レス) id: b06cf0ef99 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» ただいま! そうね、短編集の方ではあまり亜種は書かないからな。 (2016年2月29日 10時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 翡翠さん!おかえりなさい!やっぱりヤンデレカイトでしたか! (2016年2月28日 20時) (レス) id: b06cf0ef99 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» YESヤンデレカイト!! ラストの一言ってところがお気に入りです。 (2016年2月28日 11時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» 書いてる私のテンションも高かったりしますw (2016年2月28日 11時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糸魚川翡翠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisui0327/
作成日時:2015年10月11日 10時