２８９ 一線(カイトside) ページ21
「おい、やめとけ、逃げるぞ！」
連中は僕を見つつ、全速力で去っていった。
無傷で返してやったんだから、幸運だと思え。
本来ならば…
でも今はそれよりも。
「マスター！大丈夫でしたか！？遅くなって本当にごめんなさい！」
「私は大丈夫…カイトが来てくれたから、あれ以上何もされずに済んだから…」
「……許さない…」
本当なら、地の果てまで追いつめて、このアイスピックで…
「怖くなかったですか？」
「怖かっ…！？」
小野寺のこともあった。今回のこともあった。
結さんもいつか言っていた。
いつ、何が起こるか、誰にも分からない。
嫌だ。マスターは…あなたは誰にも渡したくない…！
半ば強引に、彼女の小さな唇に僕のそれを重ねる。
「好きです。マスター。」
言ってしまった。
「大好きです。」
だけどもう、止めることは出来なかった。
「大好きです…大好きなんです…。誰よりも、マスター、あなたのことが…。」
ごめんなさい…僕は機械で、あなたは人間なのに。
「僕は、あなたのものです。僕はボーカロイドで、あなたはマスター。このことは、動きようがない事実です。
でもマスター、僕はおかしいでしょうか？あなたを、マスターさえも、僕のものにしてしまいたいと思ってしまうのは…。愛おしくて仕方がないのは…。
僕は、狂ってますか？」
それでも…どうしようも、どうしようもなかったんです。
「…わからない。」
その言葉で、僕は我に返った。
言ってはいけないことを、言ってしまった。
越えてはいけないものを、越えてしまった。
「ごめんなさい…。今のは…忘れてください。帰りましょう、マスター。」
何も言うことが出来なくて、微妙な距離間をどうすることも出来なくて、ただ、家まで帰っていった。
２９０ 自動応答システム(カイトside)→←２８８ マスターはどこにいる！？(カイトside)
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鈴 - 私もKAITO、大好きです！！そして糸魚川さんの小説、最高でした！！私の好みにどストで、1日で最後まで読んでしまいました…これからも頑張って下さい(o^^o) (2019年2月16日 20時) (
レス) id: 167d8d1368 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠(プロフ) - みーさん» なんと！初めての作品が囚人シリーズだとは！嬉しい限りです。ハマっていただけたなんて！最後までお読みくださってありがとうございます。これからも頑張りますね♪ (2016年2月3日 8時) (レス) id: f89c3a3ceb (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - このアプリ入れて初めて読みましたっ、とてもいい作品で読み進めるうちにハマってしまいました( ´��｀)これからも頑張ってください^^* (2016年2月2日 20時) (レス) id: 71773198c9 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠(プロフ) - 玲奈さん» Goldには純真とか、美しいという意味があって、Stayですので、純真なまま、美しいまま笑っていてね、ということです。 (2015年10月24日 18時) (レス) id: 6c751942e8 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠(プロフ) - まりーさん» ありがとうございます！ (2015年10月24日 18時) (レス) id: 6c751942e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸魚川翡翠 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisui0327/
作成日時：2015年10月23日 15時
