32 変貌(カイトside) ページ35
「誰!?何!?背中にいるの誰!?」
マスターの叫び声で目が覚めた。
僕まで眠るつもりではなかったのに!
「わわっ!ごめんなさい、ごめんなさいマスター!」
どうにか弁解の言葉を探す。
「いや、その、僕はその、マスターに変なことをしようとか、そういうわけではっ!」
ー本当に?ー
マスターが無言でそう語っているような気がした。
「ホントです!本当ですってば!」
ただ僕は言葉を探す。
「ただ、マスター暖かいなぁって…」
マスターの表情が変わった。
少なくとも、よくない方向に。
おもむろにマスターは口を開いた。
「あのさぁ。」
「はっ、はいっ!」
「誰が私のベッドに入っていいって言ったよこの野郎」
「ごご、ごめんなさい…」
どうしよう、僕マスター救えるかとかそういう話じゃなくて、まず嫌われるんじゃないか?
どうにかしてマスターの気を他のことにそらせようとするよりも先に、沈黙を破ったのはマスターだった。
「それはともかく、だけど。」
「何ですか?マスター。」
「朝ご飯、食べた?」
嘘をつくことは、できない。
「ごめんなさい、食べました。僕のためのものじゃないのに…」
「いや、食べてもらえたなら、良かった。むしろ、謝るのは私の方だ。」
怒っていない…のか?まして、良かったって、マスターが謝るって?だって、あれはマスターは悪いとかそういうのではなくて…
「いや、そんな、マスターは、だって…。あの、朝ご飯、美味しかったです!」
無理矢理にでも、明るく振る舞う。状況から、マスターと向き合うことから逃げているのは、逃げようとしているのは、僕の方なのかもしれない。
「ごめんね…カイト……ごめんね…カイトはカイトなのに…、琥珀じゃないのに…カイトなのに…」
気丈な言葉でクールに振る舞っていた、振る舞っているように見えたマスターは、一瞬にしてか弱い少女へと変貌した。
「私酷いことしたよね、怖かったよね、訳わからなかったよね、辛かったよね、苦しかったよね、ごめんね…ごめんね…あれだけのことをしたのに、私、謝るしかできない…本当にごめんね…、ダメだね、私…」
「ごめんなさい、マスター。」
今の僕には…
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糸魚川翡翠(プロフ) - 雪蛍@スプラトゥーン野郎さん» はい!!ありがとう本当嬉しいどうしよう嬉しすぎて頭がw (2015年10月18日 14時) (レス) id: 2a4e0f237c (このIDを非表示/違反報告)
雪蛍@スプラトゥーン野郎(プロフ) - commuのアイツです()こういうのマジで好きです。夜ぐらいに残りまとめて読ませていただきます()これからも頑張ってくださいね! (2015年10月18日 14時) (レス) id: 5b75cccc84 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠(プロフ) - ⊃ Hana.**⊂さん» 読んでくれて、続編も見てくださるなんて感激です! (2015年10月17日 20時) (レス) id: 2a4e0f237c (このIDを非表示/違反報告)
⊃ Hana.**⊂ - すごく 面白かったですっ !! 今から 続編を見にいこうかと 思いますっ !! (2015年10月17日 20時) (レス) id: e8e4c1d465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糸魚川翡翠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisui0327/
作成日時:2015年10月4日 15時