23 おかえり(翡翠side) ページ24
帰ってくると、私が出かけたときのまま立ち尽くす彼の姿があった。
「ただいま。」
サングラスをはずして、帰りの挨拶をしたのに、身動き一つしない。
「何ぼさっとしてんの。」
「マス…ねーちゃん、おかえり。」
たどたどしい。気に入らない。
「髪、染めるよ。」
「え?」
「その青い頭、黒に染めるから。」
「え?…えぇっ!?」
「早く。」
「わかった。」
なんだ、飲み込み早いじゃないか。
「これ、あんたの服。」
弟のものを差し出す。琥珀も、目の前の男も180cmくらいだから、ちょうどいいだろう。この白いジャケットは汚れたら高そうだし、夏だというのに、何しろマフラーが暑そうだ。見ているこっちが暑い。
「うん。」
素直に着替えている。
今の私はどんな表情をしているんだろう?
「じゃあ、始めるから。」
説明書通りに、淡々とこなしていく。
目の前の青は、漆黒へと変わっていく。
「これ、つけて。」
蒼い瞳の彼は、手渡した箱をまじまじと眺めている。
「早く。」
彼は箱を開け、小さな曲面の黒を、小さな曲面の蒼に重ねた。
「おかえり。"琥珀"。遅いよ、馬鹿。」
黒い髪、黒い瞳。高身長で細身。我が弟ながら整った顔立ち。私の可愛い弟。あんたがいなきゃ、何も足りないんだよ。
目の前の"琥珀"を、私は迷わず抱きしめた。
「俺も、会いたかった。ねーちゃん、遅くなってごめん」
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糸魚川翡翠(プロフ) - 雪蛍@スプラトゥーン野郎さん» はい!!ありがとう本当嬉しいどうしよう嬉しすぎて頭がw (2015年10月18日 14時) (レス) id: 2a4e0f237c (このIDを非表示/違反報告)
雪蛍@スプラトゥーン野郎(プロフ) - commuのアイツです()こういうのマジで好きです。夜ぐらいに残りまとめて読ませていただきます()これからも頑張ってくださいね! (2015年10月18日 14時) (レス) id: 5b75cccc84 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠(プロフ) - ⊃ Hana.**⊂さん» 読んでくれて、続編も見てくださるなんて感激です! (2015年10月17日 20時) (レス) id: 2a4e0f237c (このIDを非表示/違反報告)
⊃ Hana.**⊂ - すごく 面白かったですっ !! 今から 続編を見にいこうかと 思いますっ !! (2015年10月17日 20時) (レス) id: e8e4c1d465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糸魚川翡翠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisui0327/
作成日時:2015年10月4日 15時