77. 不運 ページ28
．
眼下に見える海。
そっとガラスに手を当て、下を覗き込む。
海は途切れることなく続き、時折太陽の光を反射してキラリと光る。
まだヨークシンシティにはつかないらしい。
最終試験が終わったあと、何をすることもなくヨークシンシティ行きの飛行船に乗り込んで、はや8時間。早くマグナさんたちに会いたいのに。飛行船ってこんなに遅いものだったっけ。
「・・・・おなかすいた」
ラウンジでなにか食べよう。
「カニチャーハン、小ラーメンセットでございます」
「有難うございまーす」
ほかほかと湯気の立つチャーハンにレンゲを差し込む。
鼻孔に食欲をそそるにおいがふわっと広がる。そして一気にぱくり。
「最高かよ......」
「旨そうだなあ....」
「あ、はい」
いや誰だよ。
声のする方へ目をやると、そこには見事な巻き毛の少年が立っていた。
「それカニチャーハンだろ？」
「そうですけど...」
「いいなあ〜旨そうだなあ〜」
あっこれは。頭の中でこいつはやばいぞアラームがブンブン鳴っている。
私今、たかられてる！？！？！？！？
ちらりと少年の表情を伺うが、カニチャーハン食べたい以外の感情は読み取れない。
「一口でも食べられたらいいのになあ〜」
「とか言いながらすでにスプーン握りしめてますよね？」
「あ〜旨そう〜」
ついに向かいの席に座られてしまった。少年の首にはすでにナプキンがつけられ、左手にはスプーン、右手には私のカニチャーハンが。準備万端かよ。
「はあ.....たべてい「いただきまーす！」最後まで聞けよ....」
もぐもぐと私のカニチャーハンを食す少年とそれを半目で見つめる私。私のカニチャーハン....。
「どーしたんれすか。ほんなヒベットフナギツネみひゃいなかおして」
「飲み込んでから喋ろうな。あとチベットスナギツネとか失礼だな」
「ふいまへん」
「人の言うこと聞かねえな」
私の視線など気にせず少年は食べ続ける。が、ふと何かに気づいた様子で
「僕ばっかりたべてたら申し訳ないんで僕のラーメン代わりにどうぞ」
「はあ」
「ささ、遠慮せず！」
遠慮っていうか伸びきったラーメン食べたくないだけなんだが......。
ニコニコこちらを見つめる少年に根負けし、ラーメンにしぶしぶ手をつける。
嗚呼、私のカニチャーハン.....。
「ねえ、お姉さん」
「なんですか」
「優しいね」
「はあ、どうも」
「僕、ラルゴ。ラルゴ・サンフィーノ」
「そうっすか」
「ねえ、お姉さんの名前は？」
「...A」
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おじいちゃんパンチ - 天才よ帰ってこい (4月2日 14時) (
レス) @page39 id: 14d47f2dfd (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 久々に占ツクで面白い作品見つけました。更新待ってます。 (6月18日 19時) (レス) @page39 id: f494c8d92f (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 凄く面白かったです！！更新待ってます！ (2022年6月23日 14時) (レス) @page39 id: 846f3d2d4a (このIDを非表示/違反報告)
ねこ@自己満小説(プロフ) - 約2000人の人があなたの帰りを待ってます！それはもちろん僕も同じです！なので早く戻ってきてください。 (2021年11月28日 21時) (レス) @page39 id: d675a829f6 (このIDを非表示/違反報告)
キーさん(プロフ) - すごく面白かったので続きが見たいです!!!更新待ってます！ (2021年8月17日 8時) (レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みんくる | 作者ホームページ：http://nanos.jp/connector/
作成日時：2015年7月15日 19時
