63.新しい能力 ページ14
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最初に聞こえたのは何か大きなものがぶつかるような、ドン、という地に響く音だった。
それにつづいて聞こえたのは誰かの呻く声。おそらくヒソカさんだ。
彼の脚という枷で動きが取れなくなっていた頭を起こし、音のした方に目を向ける。
さっきぶつけた拍子に頭のどこかを切ったらしく、右目が血で赤く染まり、痛くて目を開けていられない。未だ何かの熱に浮かされたかのように、身体全体が熱く、ぼうっとしている。
それでも血が出ている鼻を押さえながら、フラフラと片膝をついて立ち上がり、仕方なく左目で目を凝らして見ると、10メートルほど先に、ヒソカさんが仰向けで倒れていた。
しかもよく見ると何故か全身水浸しになっている。
意味がわからない。
茫然と立ち尽くしていると、今まで倒れていたヒソカさんが、いきなり笑い出して口を開いた。
「...ックックック.....はあ、まさかここで大逆転されるとは...ね」
続けてヒソカさんは勢いよく立ち上がり、
「どういう、ことですか」
現状を把握していない私に、彼は口の端をこれでもかというほどに上げた。
「水だよ。水。君が叫んだ途端に僕の目の前に現れたのさ。空中に、水の塊が」
水。
人間の約60%を占めるという物質。
そしてこの星が進化の一途を辿っている最大の理由であるものだ。
それが、いきなり？
「....にわかには信じ難い話ですが」
「そういう疑い深いところ、嫌いじゃないよ」
「そりゃどーも」
さて、ヒソカさんの殺気が収まったところで、さっさと逃げたいところだが..。
ありがたいことにヒソカさんとの距離は開き、今なら走って会場に戻ることもできる。
だがあの人からはどんなに頑張っても逃げられる気がしない。
どうする。
『只今、第2試合まであと5分を切りました。
受験者、並びに関係者は試合会場までお戻りください』
マーメンさんだいすき。ありがとう。ラブい。
「もう...タイミング悪いなあ」
プリプリしながら腰に手を当てるヒソカさん。
これでもうちょっと小さくてピュアだったらなあ。
可愛いんだけどなあ。
そんな不毛な考えを捨てて、ヒソカさんがゆっくりしている間に、試合会場へとヒソカさんに連れてこられた道を一目散に走る。
万事休すってこういうことなんだな。
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おじいちゃんパンチ - 天才よ帰ってこい (4月2日 14時) (
レス) @page39 id: 14d47f2dfd (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 久々に占ツクで面白い作品見つけました。更新待ってます。 (6月18日 19時) (レス) @page39 id: f494c8d92f (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 凄く面白かったです！！更新待ってます！ (2022年6月23日 14時) (レス) @page39 id: 846f3d2d4a (このIDを非表示/違反報告)
ねこ@自己満小説(プロフ) - 約2000人の人があなたの帰りを待ってます！それはもちろん僕も同じです！なので早く戻ってきてください。 (2021年11月28日 21時) (レス) @page39 id: d675a829f6 (このIDを非表示/違反報告)
キーさん(プロフ) - すごく面白かったので続きが見たいです!!!更新待ってます！ (2021年8月17日 8時) (レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みんくる | 作者ホームページ：http://nanos.jp/connector/
作成日時：2015年7月15日 19時
