30.すし食いねぇ！ ページ30
．
「じゃ、二次試験後半、アタシのメニューは“スシ”よ！」
スシ？とまた周りがざわざわし始める。
そりゃそうだよな。日本を知ってる人は多いけど、日本料理を知っているのはごく少数だもんな。
「スシとは、生の魚と酢飯を使った日本料理だ！！」
と馬鹿なハンゾーが声を張り上げた。
そして案の定、周りの試験者は目の色を変えて川へと半ば、飛び込むようにして行った。
もともと持ってきていたこれも折りたたみ式ルアーの浮きを川に投げ込む。
ヒュッという音と共に浮きが水面に一旦沈み、そして浮き上がった。
それからしばらく待っていたら、急にぐんとアタリがきた。
二三回泳がせたあと、一気に竿を引っ張った。
すると水面が大きく揺れ、光にウロコが反射して銀色に輝く小魚が元気よく飛び出てきた。
メンチさんたちのいる調理場に魚を持っていく。
もうすでに寿司らしきものをメンチさんに出している人もいた。
その人たち全てが罵声を浴びせかけられていたが。
それを尻目に私は車椅子を動かし、無言で調理場の棚から包丁を取り出し、さばき始める。
まずは三枚おろし。
3年連続家庭科の成績５の私を舐めるんじゃない。基本的なことはできるのだ！
シュバババババと目にも止まらぬ速さで、とは言いすぎだがそれなりに早くさばけた。
その中から、形のいいものを選び、細かく刻む。
そして、左手で酢飯を手に取り、右手で軽く押し、寿司の下部分を作った。
味の保証はないが、まあ、見た目はいいから良しとしよう。
海苔をご飯の周りに巻き、その上にさっき刻んだ魚の身を載せる。
いわゆる軍艦巻きというやつだ。
ゴトっとメンチさんの目の前に皿をおいた。その上には先ほどの寿司もどきが。
メンチさんがそれを手に取り、ぱくりと口の中に入れた。
メンチさんの何度か口がモグモグと動き、喉がごくんと大きく動いた。
数秒の沈黙のあと、メンチさんの口が開いた。
「酢飯の柔らかさがまだまだ。魚の刻みもまだ甘い。握りですらない。
けど、周りに比べりゃまだマシ。ギリギリ合格ね。」
いやったああああああああ！！！！！！
心の中で大絶叫する。
それからしばらくして
「ごめん、腹いっぱいになっちった！」というメンチさんの言葉で試験は終わった。
「それはちと厳しすぎやせんかのう。メンチよ。」
天上から降ってきたあの声は紛れもないあの人の声で。
「ネテロ会長・・・・・。」
豊かなそのヒゲをつまみながら、ネテロ会長その人が、いた。
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リュイ - 飛行する女子高生が部分好きですw面白かった！ (2021年10月19日 17時) (
レス) @page24 id: 2183f1b6e8 (このIDを非表示/違反報告)
緑 - あのー弱火でじっくり飽きるまでじゃなかったでしょうか (2020年10月17日 9時) (レス) id: bc36a2a3f7 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 題名に爆笑しました (2017年6月5日 23時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
みんくる(プロフ) - えーでりひさん» ありがとうございます！！！実際作者はとうらぶ未プレイなんですけどね・・・審神者をしんしんしゃって読んでましたし（；￣ェ￣）更新頑張ります( ^ω^ ) (2015年8月13日 11時) (レス) id: 8267781c3e (このIDを非表示/違反報告)
えーでりひ - とてもおもしろく読ませていただきました!!江雪ネタが出てきてビックリしましたwこれからも頑張ってください!! (2015年7月25日 18時) (レス) id: ce3d448fad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みんくる | 作者ホームページ：http://nanos.jp/connector/
作成日時：2014年4月2日 19時
