26.試験開始 ページ26
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「いらっしゃい！御注文は？」
「ステーキ定食。」
「焼き方は。」
「弱火でじっくり。」
と、まあ、有名なくだりをした。
ほんとにこの合言葉なんだな。
奥の部屋につれられていく途中で、喉が渇いていることに気づいた。
「あ、おかみさん。ラムネをもらえるかね？」
「はい？」
「喉が渇いたのでね。老いていくと無性に懐かしいものを飲みたくなるんだよ。
やはり、試験前に注文はできないのかの？」
「いっいえ、少し待っておくんなまし。」
とおかみさんは厨房の方に駆けていった。
少々、強引だったかな？
でも、飲みたかったんだもん！仕方ない。
しばらくして、おかみさんがラムネをもってきてくれた。
「210ジェニーです。」
「どうも。」
「まいどあり。」
そのままエレベーターに乗った。
幸い、同乗者はおらず、心置きなくラムネに集中することができた。
一口口に含むだけで広がる炭酸の刺激とほのかな甘味。
一気に口の中が爽快になる。
瓶で飲むとなぜか普通のより美味しく感じる。
何故だろう。
くだらないことを考えていたら、チーンというベルの音がして、ドアが開いた。
車イスの車輪を押し、外に出る。
もう会場には試験者たちがたくさん来ており、彼らのガヤガヤとした話し声が響いていた。
幸運なことに、誰もこちらを気にしていない。好都合だ。
受け付けに向かえば我らがアイドル、ビーンズさんが。
「102番です。」
会釈をし、番号札をもらう。
札は胸ポケットにつけておいた。
「ようじいさん。はじめてかい？」
後ろから聞いたことのある声がした。
「俺はトンパ。アンタは？」
「ワシはエリックじゃ。」
「エリックさん、これ、お近づきの印に。」
トンパは見たことのある、例の下剤入りジュースを差し出してきた。
「すまんが、ワシはそういう類いの飲み物は飲めんくてのう。
老いると食べられるものも限られてくるんじゃ。」
「そうか・・・残念だな。また何かあったら声をかけてくれよな。」
「あぁ。覚えておく。」
トンパは新たなる獲物を探しに人混みのなかに入っていった。
なんとか断れたけど、あいつこんなご老人にまで下剤飲ませようとしやがったぞ。人間のする業じゃない。
前はすこしかわいそうだなとか甘っちょろいこと考えてたけど、前言撤回。
あいつは一回地獄見た方がいい。
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リュイ - 飛行する女子高生が部分好きですw面白かった！ (2021年10月19日 17時) (
レス) @page24 id: 2183f1b6e8 (このIDを非表示/違反報告)
緑 - あのー弱火でじっくり飽きるまでじゃなかったでしょうか (2020年10月17日 9時) (レス) id: bc36a2a3f7 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 題名に爆笑しました (2017年6月5日 23時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
みんくる(プロフ) - えーでりひさん» ありがとうございます！！！実際作者はとうらぶ未プレイなんですけどね・・・審神者をしんしんしゃって読んでましたし（；￣ェ￣）更新頑張ります( ^ω^ ) (2015年8月13日 11時) (レス) id: 8267781c3e (このIDを非表示/違反報告)
えーでりひ - とてもおもしろく読ませていただきました!!江雪ネタが出てきてビックリしましたwこれからも頑張ってください!! (2015年7月25日 18時) (レス) id: ce3d448fad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みんくる | 作者ホームページ：http://nanos.jp/connector/
作成日時：2014年4月2日 19時
