20.期待 ページ20
、
「今日ヒマ？食事でも行かない？」
イルミからの誘いだった。
ボクからはあっても、イルミからの誘いは今まで一度もなかったため、少し驚いた。
結局、イルミが前行ったことのある店に行くことになった。
そして、現在に至る。
店内は落ち着いた雰囲気があり、なかなかいい内装だった。
酒の種類も豊富で、なおかつ美味しい。
殺し屋、強盗、人身売買の元締めなどがはびこる世界、つまり裏の社会でも穴場と噂されている。
どうやら噂は本当だったらしい。
「で、何の用だい？」
「今期のハンター試験。お前、受けるだろ。」
「そうだけど。」
「うちの弟が家族刺して家出して、ハンター試験受けようとしてる。」
「ヘビーだね、それは。」
そう呟き、カウンターで作業しているウェイターの子を呼んだ。
「何か御用でしょうか？」
18〜25ほどの若い娘がメモとペンを持って近づいてきた
「ヴェルデ追加で。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
さらさらとペンを走らせると、その子はカウンターの奥に早歩きで向かっていった。
せかせか足を動かすその姿を何の気なしに眺めて、あることに気づく。
オーラの量が少ない。
通常、人間の精孔は閉じていて、微弱なオーラしか出ていない上に垂れ流しになっている。
だが、彼女はその比ではない。
限りなく絶に近い何か、と言ってもいいぐらい、それほどオーラが感じられない。
しかし、微かではあるが、オーラの存在を認識できる程度だ。
意識的なものか、それとも。
「ちょっとヒソカ、きいてんの？」
少し考え事をしすぎた。
イルミが怪訝そうな目でこちらをみている。
「ハンター試験、についてだっけ。」
「俺の弟にちょっかい出したら、殺すから。」
「おー怖い怖い。・・・大丈夫。手は出さないよ。闘るのは、熟してからの方が面白い。」
「いつも思うけど、その笑いかたホントキモい。」
クククッと笑うとまたイルミは眉根をよせた。
「そういえば、ここらで起きた変死事件、イルミだろ？」
「そうだよ。」
「らしくないじゃないか。痕跡を残すなんて。」
「その日に弟が家出した。」
「ワオ。すごい偶然だね。」
そういうとイルミは腕時計をチラリと見て、席を立った。
「もう帰る。あと、くれぐれも」イルミが言いかけるところを手で遮る。
「手は出さない。約束する。
・・・・それに今は、」
接客をしているその背中を見つめながらこう続けた。
「他にイイモノ見つけたから。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1327人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リュイ - 飛行する女子高生が部分好きですw面白かった！ (2021年10月19日 17時) (
レス) @page24 id: 2183f1b6e8 (このIDを非表示/違反報告)
緑 - あのー弱火でじっくり飽きるまでじゃなかったでしょうか (2020年10月17日 9時) (レス) id: bc36a2a3f7 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 題名に爆笑しました (2017年6月5日 23時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
みんくる(プロフ) - えーでりひさん» ありがとうございます！！！実際作者はとうらぶ未プレイなんですけどね・・・審神者をしんしんしゃって読んでましたし（；￣ェ￣）更新頑張ります( ^ω^ ) (2015年8月13日 11時) (レス) id: 8267781c3e (このIDを非表示/違反報告)
えーでりひ - とてもおもしろく読ませていただきました!!江雪ネタが出てきてビックリしましたwこれからも頑張ってください!! (2015年7月25日 18時) (レス) id: ce3d448fad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みんくる | 作者ホームページ：http://nanos.jp/connector/
作成日時：2014年4月2日 19時
