【男主】暗がり恋愛【ワンピ】 (ページ43)

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心一つページ43

スモーカー「なあA…お前はどっちがいいんだ？」

薬の話をされたその日の夜中に、眠るAに問いかける。返事なんて来やしねェがな。
元帥にも相談したが、判断はおれに任せると言われた。
それは政府がAを見捨てたというわけではなく、おれにAのことを任せられると考えたからだろう。
…もしこいつが自分で決められるとしたら、どっちを選ぶだろうな

スモーカー「A……」

Aの頬を撫でる。
すると、撫でてつり上がった口角が微笑んでいるように見えた。
それを顔を見て、おれは心を決めた。

　
スモーカー「その薬、Aに使ってくれ」

医師「…よろしいんですね？
記憶を失う恐れがありますが…」

スモーカー「構わねェ」

Aが生きていればなんでもいいってわけじゃない。
おれはただAの笑ってる顔が見たいんだ。
記憶がなくてもAはA。
愛に変わりはない。

医師「わかりました
では早速取りかかりましょう」

　
治療室に移動し、Aの点滴に注射で薬が打たれる。

医師「すぐに効果は現れませんが、
数時間もすれば副作用が出るでしょう」

スモーカー「どんくらいで起きる？」

医師「…早ければ一週間
長くても半月でしょう」

スモーカー「そうか」

A…大丈夫だからな
おれが傍にいてやる。

数時間すると薬の副作用があらわれ始めたようで体が痛いのか、眉間にシワが寄っている。
それを見て、ああ、こいつも頑張ってるんだなってのが改めて認識できた。
あまりの痛さに歯を食い縛り過ぎてしまうということで、Aにはマウスピースを咥えさせている。
たまにAは、痛みに呻き声をあげる。
久々に聞くAの声は掠れていたがそれすらも愛しく思えた。

スモーカー「頑張れよA
おれがここで見ててやるからな」