第10話 効き目 ページ14
Side Y
カラスの家の前でりょーとしらはまと合流した。
脇に抱えた箱を少し掲げて見せれば２人とも安心したように笑った。
インターホンを鳴らしてカラスが開けてくれるのを待つ。
出てきたカラスは少し目が赤くなっていて、きっと辛くて一人で泣いていたのだろうと思うと心が痛む。
だけどそんな辛さもこれで終わるはずだ。
リビングのソファに座って箱をカラスに差し出す。
K「…何？」
Y「セイルラム」
K「え！？」
Y「crewにセイルラム持ってるって子がいて、その子が譲ってくれた。Aって子」
K「A……Aってあの子や！！ほんまにセイルラムなんてあったんやな…俺実は半分諦めててん。なのにほんまに見つけてきてくれて…ありがとうゆーまくん、しらはんとりょーくんも。もちろんAにもほんまに感謝してる」
Y「A曰く、本物かどうかはわからんらしいけど、少なくともAは嘘ついてなさそうやったからもらってきた」
そう言って俺はカラスにAとのDMの画面を見せる。
カラスは一通り目を通した後しっかりと顔を上げて言った。
K「…飲んでくる。信じてみる」
薄青色の花を真空になったガラスケースから取り出し、すり鉢で軽くすりつぶす。
なるべくすり鉢に残らないように掬い取って口元まで運んだところでカラスが止まる。
K「いくで…？」
深呼吸をひとつしてカラスがすりつぶしたセイルラムを口に入れる。
R「…どう？」
K「思ったより草っぽくない」
R「味やなくて、なんか変わったこととか…？」
K「んー、何も変わってへんような気ぃすんねんけど…」
S「はずれ…だった？」
Y「待って、カラスもっかい喋ってみて」
K「え？あーあー、俺はカラス、俺はカラスです…なんか変わった？」
Y「声の掠れが…」
K「あーあー、あー…！ほんまや…だんだん掠れてたんがなくなってく…！」
R「それって…」
S「効いてる…！？」
K「…っあ…う…うぅっ…うわあぁぁぁぁぁぁ！！」
R「っカラスぅぅ！！！」
S「カラスくん、良かった、ほんとに、よがったぁぁ！！」
Y「っ…！！」
泣き出したカラスをみんなで抱きしめてみんなでカラスの回復を喜んだ。
俺たちの顔は涙でぐしょぐしょだった。
こんなに本気で喜んだのは何年ぶりだろう。
でもそのくらいカラスの病気が治ったことが、カラスが生きていてくれることが嬉しかった。
その日はそのままみんなでカラスの家に泊まることにして、みんなでカラスを甘やかした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
久都(プロフ) - たまむすびさん» たまむすびさん。コメントいただきありがとうございます！そう言っていただけると本当に嬉しいです！長らくお待たせしまして本当に申し訳ないです…。また少しずつ更新していきますのでまた読んでいただけたら嬉しいです！ (2020年9月11日 12時) (
レス) id: b3dac6fe36 (このIDを非表示/違反報告)
たまむすび - 初コメ失礼します！密かに楽しく読ませていただいております(*^^*) 毎回の更新が楽しみです！無理なさらない程度に、更新頑張ってください！ (2020年7月26日 9時) (レス) id: 79222dcc00 (このIDを非表示/違反報告)
久都(プロフ) - 咲夜さん» 咲夜さん。素敵だなんて…ありがとうございます！こうしてコメントをいただけると本当に励みになります！これからしばらくの間私生活の方が忙しくなり、更新が今までにも増して亀さんとなりそうで申し訳ないです…。気長に待っていていただけましたら幸いです<( _ _ )> (2020年7月24日 0時) (レス) id: b3dac6fe36 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 久都さん。素敵な小説をありがとうございます(*^^*) 毎回どんな展開になるのかハラハラしながら読んでます。これからの展開が気になります…。これからも更新されるのを心待ちにしております。陰ながら応援させていただきます。体調にお気をつけて頑張ってください！ (2020年7月23日 20時) (レス) id: 39890ced5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：久都 | 作成日時：2020年6月18日 2時
