パンタシア Ⅲ (ページ44)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:2,189 hit

118話ページ44

木戸川の山裂さんから貴志部くんにパスが周り、それを阻むように神童くんが並んでボールを奪おうとしたが、貴志部くんのスピードが上回り、必殺タクティクス、ゴッドトライアングルを発動した。

そこから、何度も私たちがボールを奪おうとしても、木戸川の巧みなパス回しやテクニックでボールを奪えず終いだった。
そんな時、快彦くんが総介けんの隣で話をしているのに気が付き、それどころじゃないのを分かっていながらも気にしてしまいちらちらと見てしまった。

跳沢さんから総介くんへパスが繋がったのを見て、車田先輩が指示を出す。
それに従い、私たちはマークをつけ、パスを回せないようにした。

私は貴志部くんをマークしているが、何分私と彼では彼の方がスピードもテクニックもスタミナも勝つ。
だから色々と不利なのだが、それでもマークを外すわけには行かず、続けていると、ふと霧野くんの後ろに小さな背中が見えた気がして目を凝らすと、それは快彦くんだった。

しまった、と思った時には遅かった。
総介くんは一瞬止まったように見えたが、快彦くんにパスを回した。

｢かっとびディフェンス!!｣

貴志部くんからのマークを外し、咄嗟にDFへ戻ろうと走っている時、近くでそんな声が聞こえ反射的に見ると、狩屋くんと西園くんだった。

西園くんの新必殺技のおかげで、快彦くんからボールを奪えたことに安堵した。

落胆している快彦くんに、総介くんが声をかけているのを聞き、チームがこれで一つになったのだと思った。
敵チームのことであっても、どこか嬉しくなり、自然と頬が緩んだ。