114話 ページ40
貴志部くんの指示なのか、神童くんと剣城くんにマークが付き、パスができず着地した浜野くん。
そのボールを取ろうとした相手を躱すように、なみのりピエロという必殺技を使い避ける。
が、天馬くんにパスをしようとしたのを、快彦くんのお兄さんがカットした。
総介｢鉄騎兵ナイト｣
反撃とでもいうのか、化身を出した。
｢私だって、前は出せたのに...。私に何が足りないの...｣
唇を噛み、俯いてボソリと誰に向けたものでない疑問を口にする。
当たり前のように、答えなど返ってくることもわかることも無い。
そんな私のことはお構い無しに試合は続き、快彦くんの化身シュートが雷門のゴールを割った。
その先制点で勢いづいたのか、雷門のボールを次々にカットし攻め上がる木戸川清修。
それに食らいつく雷門だが、やはりボールを奪われる。
そして、追加点を決められて前半戦が終わった。
ベンチに戻ってくる皆におちおち休んでおられるわけもなく、私も葵ちゃんたちに倣いドリンクやタオルを手渡す。
一通り渡し終え、有人くんの隣に腰掛ける。
...と、全身白の服を身にまとった男の人が、雷門ベンチに来た。
｢錦｣
錦｢師匠!?｣
師匠、と言う言葉に皆が反応すると、徐にサングラスを外し、言った。
｢久しぶりだな、鬼道、A｣
鬼道｢染岡!!!｣
｢りゅーごさん!!｣
天馬｢染岡さんって、あの伝説の雷門イレブンの!?｣
興奮からか、頬を赤く染めて問う天馬くんに、りゅーごくんは頷き、ボールを借りる、といって何かを書き出し錦くんへ渡した。
染岡｢そうだな、あの木に蹴ってみろ｣
様子を伺うように見つめながら顎に手を当てる。
りゅーごくんの意図が分からず、顎に当てていた手を下ろし、りゅーごくんと錦くんの様子をただ見つめるだけとなったが、何か吹っ切れたような顔をした錦くんに、安堵のため息を吐いた。
そして、有人くんがポジションを変えると言い、錦くんを上げ、剣城くんをMFに下げた。
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作者名：ひさめ | 作成日時：2018年7月5日 16時
