パンタシア Ⅲ (ページ38)

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112話ページ38

フライングルートパス。

私の番となり、跳んだ時、心臓が嫌な音をたてたのがわかった。
それでも、と耐えてパスをし、着地する時にふらつきながらもそれも耐え、ポケットに忍ばせて置いた薬を隠しながら取り出すと、思ってもいないことになっており固まった。

｢薬が、濡れてる...｣

薬が濡れて、溶けてドロドロになっており、到底飲めるものではなかった。

そんなこともお構い無しに、呼吸は浅くなっていくのがわかり、最後の力を振り絞るように有人くんに目をやると、選手交代を言い渡してくれ交代する倉間くんが私の肩に腕を回して支えるようにベンチまで運んでくれた。

ベンチに着くと、ベンチに横にならされ、春奈さんが急いで鞄から薬を取り出して飲みやすいように起こしてくれ、薬を飲むことができた。

春奈さんは私が薬をちゃんと飲んだのを見て、ほっと息をついてからドリンクを手渡しされ、それに口をつけた。

水分も取り、タオルで汗も拭き、心配そうに見つめる輝くんの隣へ移動し、肩に頭を預ける。

当たり前のように近くなる距離に、輝くんは目を瞬かせながら喉を鳴らしたが私の頭が落っこちないようにと動かないように頑張っているのを見て微笑ましくなり、さっきよりもぴたりとくっついておいた。