109話 ページ33
剣城くんにパスをして、私はすぐにグンとスピードをあげDFの前まで来て剣城くん！と声を上げながら手をあげると、それに気づいてくれた彼はすぐにパスをくれた。
当たり前のようにDF陣が私のボールを取りに来るわけなのだが、それをヒールリフトで避けたり1人ワンツーをしたりと技を使わずに抜いた。
驚きの声を上げてる人や驚きの表情を浮かべる人が何人かいたが、そんなものはお構い無しにゴール前まで行き、シュートを打つ体制になった瞬間。
後ろから押されるようにタックルされ、突然のことで反応出来なかった私はそのまま倒れ込む。
｢ぅぐ、｣
べじゃ、と地面に倒れ込んだ時に色気のない声を出してしまい、恥ずかしくなり立ち上がろうとすると、肩に鋭い痛みを感じ膝をついてへなへなと座り込んでしまう。
｢おいっ、大丈夫か！｣
後ろから誰かが駆け寄って来、誰かと思い顔を上げると、すごく焦ったような、心配の色を浮かべた快彦くんのお兄さんだった。
｢大丈夫よ、私はそんなヤワじゃない。こんくらい、我慢出来るわ｣
意地を張り、突き放すように冷たく言い立ち上がる。
肩がズキズキと痛んでいるのを顔に出さないように奥歯を噛み締め、表情を無にするよう心がける。
総介｢お前、無理してるの丸わかりだぞ。
女のくせに体に傷残ったらどーすんだよ｣
あんだけ罵ってきた快彦くんのお兄さんが純粋に心配だという顔をしているだけでなく、体に傷が残ったら、という紳士的な事まで言ってきたことのほうが驚き、固まると快彦くんのお兄さんは痛むから固まったのだと勘違いしたのか、私の腕を引いて木戸川のベンチまで引き摺るように連れてかれた。
総介｢監督、手当てよろしくお願いします｣
アフロくんの顔を見た後、私を無理やりベンチに座らせその隣に座る。
アフロくんも頷き、すぐに救急箱を手に取って私の服に手をかけた。
｢レディの服を脱がそうとするの？｣
咄嗟にそう声をかけると、ピタリと固まる。
が、すぐに動き出し、私の肩が見えるように服を引っ張り肩を外気に晒した。
肩は青紫に腫れ、痛々しいのが見てわかる。
それ見て更に痛くなった気もしなくもない。
アフロくんは顔を歪ませ、すぐに湿布を貼ってくれ、手当が終わると私はすぐにフィールドへ向かった。
勿論、お礼は言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひさめ | 作成日時：2018年7月5日 16時
