106話 ページ30
そうだ、私なりのゲームメイクをしなきゃ、と気を引き締め、木戸川のプレイをじっと見つめていると、ふいに快彦くんのお兄さんと目が合った気がした。
いや、彼はプレイに集中しているから合ってないか、と判断し、頭の中でパズルのように当てはめてゲームメイクを続けていく。
｢...そろそろ自分のベンチに帰るわ、突然お邪魔してごめんね。
快彦くん、気負うことはないから自分なりのプレイを信じなさい、そしたらきっと道は切り開ける｣
腰を上げながら言い、快彦くんにウィンクをして雷門のベンチへと戻った。
鬼道｢遅かったな｣
｢あら、有人くんは私がいなくて寂しかったのかしら？｣
有人くんの隣に腰掛け、そんな冗談を言うと鼻で笑われその近くにいた輝くんに苦笑いされるのを見逃さず、輝くんに笑顔を向ける。
｢寂しかったのは輝くんだったかしら、もう可愛いんだから！｣
輝くんの近くに行き、ぎゅっと抱きしめると顔を真っ赤にしながら慌てふためきだし、その姿にクスリと笑いを零すと俯いてしまった。
うん、相変わらず可愛い！
鬼道｢何か策が見つかったのか？｣
輝くんを見つめてニコニコしていると、有人くんに声をかけられ輝くんから離れて有人くんに近づいて耳元に唇を寄せる。
｢ふぅ｣
鬼道｢っ?!?!｣
無防備な有人くんの耳元で息を吹きかけるとビクッと肩を揺らして耳を抑え、私を驚いたように見てきた。
それがなんだか面白く、笑いを零すと有人くんの眉間のシワは深くなり、やばいと思ったのには遅かった。
鬼道｢大人をからかう悪い餓鬼はお前か？｣
｢ひょ、ごめんなひゃい｣
頬を摘まれ、急いで謝るとため息をついて離してくれた。
頬が伸びたらどうしてくれるんだ全く。
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作者名：ひさめ | 作成日時：2018年7月5日 16時
