95話 ページ19
翌日、皆練習に励み、基礎体力向上のトレーニングも役立ったと安心できるような動きで、ほっと息をついた。
ふと輝くんに目を移すと、天城先輩が輝くんにアドバイスをしているところだった。
｢輝くんならすぐできちゃいそう｣
にまにまと頬を緩めながら呟くと、隣にいた有人くんに頬を摘まれる。
｢ひょ、ひょっと、なにひゅんのよ(ちょっとなにすんのよ)｣
私の頬を摘む手に自分の手を重ねて睨むように見ると肩を揺らして私の頬から手を離し、顔を背けた。
それを気にも留めず、輝くんに目を戻すとアドバイスされた通りのことをすぐにクリア出来ており、私が嬉しくなった。
｢輝くん、ナイス!!後でよしよししてあげる!!｣
輝くんに手を振りながら言うと、輝くんは照れたように頬を掻きながら苦笑いを零しており、それにまた胸が弾んだ。
一通り癒された後、天馬くんの方へ視線を移すと、なんだか変な名前の技の練習をしている最中だった。
｢どっかーんじゃんぷ？ってなんかダサいわね。大方、狩屋くんが付けたとか｣
水鳥さん達と一緒になって話していると、葵ちゃんが何か思い出したかのように私を見つめてきた。
｢葵ちゃん、どうしたの？｣
葵｢A先輩、剣城くんとデートとかしないんですか？｣
｢.....｣
手からバインダーが落ち、挟んであった紙まで散らばってしまうが、そんなことよりも葵ちゃんの言った言葉に驚きすぎて固まると、水鳥さんや茜さんも頷く。
水鳥｢雷門サッカー部の唯一のカップルだもんな。仲良くしてもらわないと困るぜ｣
茜｢写真は任せて｣
茜さんは置いといて、水鳥さんは未だにそんなことを言っていたのか。
｢私と剣城くんはカップルなんかじゃないわ、普通の友達というか、仲間というか｣
はいはいわかってるわかってる、と水鳥さんがおばさんのような仕草をしながら言っており、ため息をついた。
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作者名：ひさめ | 作成日時：2018年7月5日 16時
