パンタシア Ⅲ (ページ12)

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88話ページ12

｢西園くんは皆の倍の高さを跳ばせて｣

西園くんを指差しながら有人くんに言うと頷いて指示を出してくれた。

西園くん含め、皆は不思議そうにしていたが西園くんはそれを頑張って跳んでいた。

西園くんは皆よりも身軽にジャンプできるだけでなく、ジャンプ力もある。
だからこれを鍛えればきっと役立つ。

そして、タイヤを引いて走るトレーニングになった。

何故か私を見つめてくる有人くんに、知らんぷりをして天城先輩のタイヤを3倍にして、と頼むとふっと笑ってまた指示をだした。

｢有人くん、私ばかり見ていないで皆を見て？｣

紙に書き記しながら言うと、有人くんはそうだな、と呟く。

ある程度書き、有人くんに視線を向けると、有人くんは何処か嬉しそうだ。

｢もしかして、私が気づくの待ってた？｣

鬼道｢お前は周りをちゃんと見ることができるだけでなく、良いところも悪いところも見つけれる。だから今何を練習すべきか、鍛えるべきか瞬時にわかる｣

｢...ほんと、有人くんには敵わないわ｣

頬を掻き、唇を尖らせて有人くんをジト目で見るが、有人くんはそれを無視して皆を見ていた。

私も見なきゃ、と気合を入れ直し、皆の鍛えるべきことを考えながら見つめる。