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「僕に何も言わないでいなくなるなんて、卑怯じゃないか」
彼はぺらぺらと本を捲りながら
「残念ながら、僕は追われるより、追うほうが得意分野なんだけどね」
そう言った。
いなくなる、そう言われ、最近まだよく通ってくれていた若者を思い出す。
ふと、彼のお嬢さんという言葉が蘇って、
「あ」
思わず声が出てしまう。
(あの怪盗が手紙を送りつけてきたあの時から、今日のことが仕組まれていたのだとしたら…)
一人考えこんでいると、安室の顔がふいに目の前に現れる。
驚いてソファの上にひっくり返れば、彼はAのカメラでその顔を撮った。
「うん。いい写真だ」
満足そう言って、離れていく。
そして勝手に自分の携帯電話に画像を取り込んだ。
「ちょっと、総だ」
言い返そうとした時だった。
自分の顔の前にすっと彼の掌が現れた。
「今日から、僕はここの客だ」
訳も分からず止まっていると、彼は追加で珈琲を頼んできた。
すぐに動けないでいると、また珈琲と言われ、慌ててキッチンに向かった。
(なんなのよ。こういう時に珈琲だなんて、時間がかかるってのに)
珈琲豆を引っ張り出して挽いていく。
そうしているうちにだんだんと苛苛とした感情が収まっていく。
お湯を注いでふんわりといい香りが昇ってきた時には、苛立ちはなくなっていた。
彼の元にカップを運ぶ。
のんびりと本を読む姿だけで、彼はその空間に馴染み自分のものとしていた。
それくらいに、Aの中でまだこの男の存在は強かった。
(苦しい)
一度別れたはずだ。
こうして、ここにいる理由が分からない。
「そんな顔で客に渡すなんてどうかしてるね」
彼は眉を下げながらAに言う。
なんとなく気まずくなって隣にいられず、キッチンに戻ろうとすれば、向かい合わせに座らされた。
珈琲を飲んで、じっとAを見た後、
「あれから考えたんだ。
どうしたら、僕らは交際できるのか」
真剣な顔で言った。
どうしようもないだろう、そうAが言うより先に、
「もう僕は君を逃がさない。
この執念深さは、あいつらの誰よりも負けないよ」
降谷は自分の前に手を組んで、軽く唇を舐めた。
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Nattu(プロフ) - 白雨さん» 白雨さん初めまして！キッドも二面性があるという点で何度かこの作品のキーマンになりつつ、青子ちゃんいるしなあ〜の気持ちでした！笑でも、書いてみたい欲はこの作品に出てくるくらいなのでチャレンジしたいと思います！大好き、ありがとうございます＊ (11月6日 16時) (
レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
白雨 - シリーズの最初の頃から毎日読ませて頂いてます。大好きです!((次回作について、怪盗キッド落ちを希望します! もちろんキッド様には青子ちゃんがいますが、この作品で何度か出ているキッド様が好きで…ご検討して下さったら嬉しいです！これからも応援しています！ (11月5日 10時) (レス) @page19 id: f5a7983f74 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - かるぴんさん» かるぴんサンありがとうございます！私の作風(?)に合わせてヒロくんをリクエストをいただきありがとうございます;;作風まで言われることは滅多にないのでとても嬉しいです‼︎穏やかお兄さんヒロくんも迷いますね…検討させていただきます！ありがとうございます (10月20日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - 紫苑さん» 紫苑サン、いつもありがとうございます！またリクありがとうございますー！赤井さん愛され〜クールだからこそ見てみたい感はありますね…ﾝﾝ迷う…参考にさせていただきます‼︎ありがとうございます！ (10月20日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 新たな展開にワクワクです。この小説が毎日の楽しみです！次回作を検討されているとのことですが、私は諸伏景光を希望します！Nattuさんの柔らかて温かい文章ととてもマッチすると思います！これからも応援してます！お体に気をつけて(*´-`) (10月20日 3時) (レス) @page1 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nattu | 作成日時：2023年10月18日 16時
