129 ページ13
.
丸い目はまっすぐにこちらを見ている。
黒目はうろうろとせわしないまま。
(思ったより初心な子)
華奢な身体をベッドに押し倒して、Aを見下ろした。
「えっ…?日本語…?あれ…?怪我は…」
怪我という単語を聞き、膝に貼った特殊メイクのテープを剥がす。
それを見てさらに目が丸くなった。
「可愛い」
ぱくぱくと開ける唇にキスを落とす。
突然のことに女の身体は硬直するも、すぐにベルモットの肩を押した。
「どういうことですかっっ」
身体が小さい割に力は強い。
手首を掴んで押さえようとすれば、それに抵抗してきっと睨みつけられる。
(ふうん。やっぱりただの可愛いレディってわけじゃなさそうね)
その視線を遮って服に手をかけた。
「悪いわね。そういうつもりはなかったんだけど、
そうやって煽られたら、
したくなっちゃうじゃない?」
「何言って、ちょっ、待っ」
女の声を無視して、事を進めていく。
言葉通り、こういう流れにするつもりはさらさらなかった。
彼女の見た目と中身の意外性とベルモットを見る強情な目に、すっかり気が変わってしまっていた。
別に恋愛対象が女だというわけでもないが、特別この女には人間として惹きつける何かがあるような気がした。
次第に欲に溺れ火照っていく身体に、ただの女かと思わせつつも、やはりその目つきは変わらない。
涙を貯めながらも、ベルモットを許す雰囲気は一切見られなかった。
(面白い子)
一通りを済ませ、煙草に火をつけた時、Aはベルモットの腕を掴んだ。
「貴方は誰ですか。何がしたいんですか」
鋭い眼光に身震いしてしまいそうだ。
今すぐにでも噛みついてきそうな勢いだ。
(獲物を見つけたバーボンそっくり)
そう言おうとして口を閉じて、女の口につけたばかりの煙草を突っ込んで、
「貴方が可愛いからナンパしただけ。
でも貴方だって同罪よ?
ここに連れ込んだんだから」
口に残った煙をふっと吐いて、片目を閉じた。
.
498人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nattu(プロフ) - 白雨さん» 白雨さん初めまして!キッドも二面性があるという点で何度かこの作品のキーマンになりつつ、青子ちゃんいるしなあ〜の気持ちでした!笑でも、書いてみたい欲はこの作品に出てくるくらいなのでチャレンジしたいと思います!大好き、ありがとうございます* (11月6日 16時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
白雨 - シリーズの最初の頃から毎日読ませて頂いてます。大好きです!((次回作について、怪盗キッド落ちを希望します! もちろんキッド様には青子ちゃんがいますが、この作品で何度か出ているキッド様が好きで…ご検討して下さったら嬉しいです!これからも応援しています! (11月5日 10時) (レス) @page19 id: f5a7983f74 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - かるぴんさん» かるぴんサンありがとうございます!私の作風(?)に合わせてヒロくんをリクエストをいただきありがとうございます;;作風まで言われることは滅多にないのでとても嬉しいです‼︎穏やかお兄さんヒロくんも迷いますね…検討させていただきます!ありがとうございます (10月20日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - 紫苑さん» 紫苑サン、いつもありがとうございます!またリクありがとうございますー!赤井さん愛され〜クールだからこそ見てみたい感はありますね…ンン迷う…参考にさせていただきます‼︎ありがとうございます! (10月20日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 新たな展開にワクワクです。この小説が毎日の楽しみです!次回作を検討されているとのことですが、私は諸伏景光を希望します!Nattuさんの柔らかて温かい文章ととてもマッチすると思います!これからも応援してます!お体に気をつけて(*´-`) (10月20日 3時) (レス) @page1 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Nattu | 作成日時:2023年10月18日 16時