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頭が重い。
意識が夢と現実で行き来している時、




「もーっAさん、起きて!



朝食時間決まってるんだから」




梓の明るい声で目が覚めた。




(あれ。夜は総代と…あっ)




遠い記憶の中で運ばれていたことを思い出す。
熱がまた帯びる。
それを誤魔化すようにして、浴衣の襟元をきゅっと締めた。

会場に着くと、



「あ、梓さん、Aさん、おはようございます!」


「蘭ちゃんおはよう。

コナン君もおはよ!」


「梓姉ちゃん、おはよ」



昨夜別れた二人と遭遇する。
どうやら隣の席のようで、昨晩飲み過ぎたのか少し顔色の悪い小五郎が座っていた。

机上にあるのは、喫茶ポアロ様の札。
机にはマスターの私物が置かれているだけで、彼の痕跡はない。
ちょうどタイミングよく、携帯電話が震えて



「すみません、先食べててください」



足早に宴会場を出る。
そして、一呼吸置いた後、



「おはよう、ございます。


どうされました?」



電話に出れば、明るい声が返ってきた。



「おはようございます!


すみません、急用ができてしまってもうそちらを出てるんです」



「あー…そうだったんですね。


梓さん達に伝えておきますね」



業務的な会話をしながら、



(どうせ嘘じゃん。きまずいんでしょ)



と思っていると、




「逃げじゃないから」




降谷はきっぱりと言った。



「本当に、あっちの仕事に呼び出されてな」


「別にいいですよ。言い訳しなくても」


「今は何言っても信じて貰えないか…」



彼は残念そうな声をあげた。
なんだかいじめているような気がして、胸が少しだけ痛くなる。

彼の求めんとすることは分かっていた。
だからこそ、こうして連絡してきているわけで。

自分も彼と同じく逃げてはいけないと感じた。




「あの、さ」




乾いた唇を舐める。




「安室さん、だけ…じゃなくて、


総代としてもちゃんと見るから。


…一応、前に好きになったわけだし。


だから、



もう少し待ってて」




でしゃばりすぎたと思った。
感情が昂り、目頭が熱くなっていた。

そんな情けない言葉に、




「僕も、今の君を見ていきたい。


どちらが先か、勝負しようか」




彼は楽しそうに返事をしてくれた。


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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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Nattu(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!すごくすき…待つ…!嬉しい言葉が並んでいて元気になりますありがとうございますっっ;;仕事に精を出しつつ好きな文字書きに手を出せたらなあと思います*応援コメありがとうございます^^ (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - Sanさん» うあぁあ!コメントありがとうございますとても嬉しいです;;仕事で疲れていたので嬉しい言葉ばかりで身に染みますありがとうございます;;;頭には書きたいことだらけなので文字にできるよう努めて行きます〜! (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - お仕事なら仕方ないです!主様のお話すごく好きです!いつも応援してます!楽しみに待ってますヾ(๑╹◡╹)ノ" (8月26日 8時) (レス) @page25 id: 0664a97245 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - うあぁぁぉぉぉ!!最近から読まさせていただいているのですが、最高すぎて更新🆙をいつもいつも楽しみにしていました!お仕事は仕方ない、、応援してます❤️‍🔥💪楽しみにしてます!!! (8月26日 3時) (レス) @page25 id: c9bd71387a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - もなかさん» もなかさん初めまして!コメントありがとうございます!安室さんのことが好きな方に楽しんでいただけてとても嬉しいです;;ありがとうございます! (8月15日 0時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu | 作成日時:2023年8月1日 23時

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