84 ページ24
.
商店街の集まりでポアロは休みになった。
しかし、仕事は休みになる訳でもなく、
「安室君、こっちこっち〜」
「梓ちゃんも一緒に飲もうよ〜」
同僚達と慰安旅行に訪れていた。
(総代、あっちの仕事はどうなってんのよ…暇なの?)
今頃、仕事に明け暮れているであろう風見が不憫に感じてくる。
ただ、彼も安室透としてこの街で生きていくためにも交流は大事なのだろう。
商店街の面々と顔を合わせることは、安室透の存在をアピールするチャンスともいえると思えた。
顔馴染程度の仲で酔っ払うのも嫌で、部屋の隅の方でちびちびと酒を舐めていると、
「あ。逃げてる人発見」
小五郎に連れてこられた蘭とコナンが嬉しそうにやってくる。
周りはもう出来上がった大人ばかり。
素面の彼らには面倒な状況だろう。
「つまんないよね、こんなとこ連れてこられて」
「そんなことないですよ!
…まあ、今だけはちょっと嫌ですけど」
「そうだよねえ。大の大人が羽目外してみっともないよねえ」
そう言い苦笑すれば、二人とも困ったように笑った。
もう時計の針は次の日へと変わろうとしている。
こんな状況でコナン達を起こしているままなのはあまり教育上良くない気もして、
「蘭ちゃん達、もう遅いから寝な〜。
ていうか私もそろそろ眠くなってきたし、一緒に部屋戻ろっか」
静かに大部屋から三人で抜け出していく。
大勢で飲むのはあまり得意な方ではない。
この状況に正直助けられたところはあった。
「A姉ちゃん、おやすみなさあい」
「ん、おやすみぃ」
コナン達を送り届け、自室に戻ってまた缶を開ける。
居心地の良い部屋の障子から綺麗な月が見えて、酒が旨く感じた。
畳には梓とAの分の布団が並んでいるが、きっと梓は向こうで寝てしまうだろう。
昼間には部屋が綺麗だと騒いでいた彼女がいないのが少し寂しい気がしていた、そんな時だった。
扉からこんこんと叩く音がする。
誰だ、と首を傾げているとすぐに携帯が鳴って、
「すみません、安室です。
梓さんを連れてきたのでドアを開けて貰ってもいいですか」
慌てて開ければ、すやすやと眠る梓を申し訳なさそうな顔をして抱く男が一人。
彼を部屋に入れ、安室はゆっくりと彼女を布団の上に置く。
「開けてくれてありがとうございました。
では、お邪魔し」
すぐに出ていこうとする彼の裾を、自然と掴んでいた。
.
312人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nattu(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!すごくすき…待つ…!嬉しい言葉が並んでいて元気になりますありがとうございますっっ;;仕事に精を出しつつ好きな文字書きに手を出せたらなあと思います*応援コメありがとうございます^^ (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - Sanさん» うあぁあ!コメントありがとうございますとても嬉しいです;;仕事で疲れていたので嬉しい言葉ばかりで身に染みますありがとうございます;;;頭には書きたいことだらけなので文字にできるよう努めて行きます〜! (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - お仕事なら仕方ないです!主様のお話すごく好きです!いつも応援してます!楽しみに待ってますヾ(๑╹◡╹)ノ" (8月26日 8時) (レス) @page25 id: 0664a97245 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - うあぁぁぉぉぉ!!最近から読まさせていただいているのですが、最高すぎて更新🆙をいつもいつも楽しみにしていました!お仕事は仕方ない、、応援してます❤️🔥💪楽しみにしてます!!! (8月26日 3時) (レス) @page25 id: c9bd71387a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - もなかさん» もなかさん初めまして!コメントありがとうございます!安室さんのことが好きな方に楽しんでいただけてとても嬉しいです;;ありがとうございます! (8月15日 0時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Nattu | 作成日時:2023年8月1日 23時