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彼女はすんなりと自分の申し出を受け入れ、今隣に大人しく座っている。
まるでこうすることが分かっていたかのように落ち着いていた。
「すみません。一応休憩時間ってことになってるので、
なるべく手短にお願いできますか」
そう言って申し訳なさそうに眉を下げた。
何から話そうか、そう迷っていると、
「この話、あむ…降谷さんは知ってるんですか」
彼女はいきなり彼の名前を出した。
やはり、Aは安室が降谷であることに気がついていた。
「いえ。降谷さんには言ってません。
きっと知られたら大目玉食らうでしょうね」
「そうですよね。
じゃあ、風見さんのためにも黙っててあげます。
その代わり、総代は今何をされてるのか教えていただけますか」
唐突に彼らの距離の近さを感じた。
それに、その近さを武器に風見を挑発していた。
言葉を使うのが上手い女だと思った。
「…それは、私の業務にも支障がありますので、
具体的にはちょっと。
ただ、元々こちらに居た貴方なら何となく予想がついてるんじゃないですか。
その予想通りで構いませんよ」
投げ槍な言葉で返せば、Aの眉間に皺が寄った。
次に彼女は何を聞こうか悩んでいるようだった。
そのタイミングを逃さまいと、
「降谷さんとはどのようなご関係で」
質問を切り込んだ。
「ただの同僚ですよ。…今は」
彼女も腹の内を見せようとしない。
話は平行線だった。
「風見さんは、総代のことが知りたくて私のところに来たんですか?」
「…いえ。
貴方と再会してから降谷さんは少しだけ変わりました。
だから、あの降谷さんに影響を与えるほどの存在の貴方と、
貴方達の過去を知りたくて来たんです」
そう言うと、深く息を吐いてAは困ったように笑った。
「なんだ。
やっぱり貴方も総代ととても似てる。
強い探求心の持ち主だ」
深く椅子に腰かけていた身体を起き上がらせて、彼女はこちらを見つめて、
「総代と同期、
彼の亡き友人達の一人の元恋人、
学校時代と…今、彼に想いを寄せています。
…これで満足ですか???」
眉を吊り上げ強気に言って、耳を真っ赤に染めた。
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Nattu(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!すごくすき…待つ…!嬉しい言葉が並んでいて元気になりますありがとうございますっっ;;仕事に精を出しつつ好きな文字書きに手を出せたらなあと思います*応援コメありがとうございます^^ (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - Sanさん» うあぁあ!コメントありがとうございますとても嬉しいです;;仕事で疲れていたので嬉しい言葉ばかりで身に染みますありがとうございます;;;頭には書きたいことだらけなので文字にできるよう努めて行きます〜! (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - お仕事なら仕方ないです!主様のお話すごく好きです!いつも応援してます!楽しみに待ってますヾ(๑╹◡╹)ノ" (8月26日 8時) (レス) @page25 id: 0664a97245 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - うあぁぁぉぉぉ!!最近から読まさせていただいているのですが、最高すぎて更新🆙をいつもいつも楽しみにしていました!お仕事は仕方ない、、応援してます❤️🔥💪楽しみにしてます!!! (8月26日 3時) (レス) @page25 id: c9bd71387a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - もなかさん» もなかさん初めまして!コメントありがとうございます!安室さんのことが好きな方に楽しんでいただけてとても嬉しいです;;ありがとうございます! (8月15日 0時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2023年8月1日 23時