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むかつくほどに、安室に、降谷に、嫉妬していた。
「いっつも女の子にモテモテだし、
料理もスポーツもなんだってできるし、
頭もいいし。
何でも持ち合わせてて完璧ですもん!」
それに好意もあるせいで、彼のことを純粋に褒めることができない。
所謂意地っ張りだ。
(萩原君なら、きっとストレートに言ってるだろうにな)
亡き恋人が羨ましく思う。
直接感情を伝えてくれるところに、Aは惹かれ応えたのだ。
Aの言葉に安室は困ったように眉を下げた。
「僕に憧れてくれるのは嬉しいんですけど、僕は君に」
からんからんと音が鳴り、扉が開いた。
「すまんのう。コナン君の看病をしてくれたようで」
申し訳なさそうに阿笠が入ってくる。
すぐ傍には灰原が居て、小さく頭を下げた。
安室は察したのか阿笠と共に二階に上がっていく。
「お取込み中だったかしら?」
少女は口角を上げながら言う。
「…さあ。どうでしょう」
そうわざとらしく言うと、
「あら、それは悪いことをしたわね。
見れなくて残念」
彼女は満足そうに笑った。
阿笠達は予定より早く用事が終わったようで、蘭に変わって阿笠邸でコナンを看病することにしたとのことだった。
虚ろな目をした少年を安室が抱え、後部座席に乗せる。
阿笠は頭を下げた後、灰原を置いて一人帰路につく。
残された少女は当たり前のようにポアロのカウンター席についた。
「アイスコーヒー一つ」
自由気ままな彼女に思わず安室と顔を見合わせて笑った。
(まあ…いっか)
何か彼が言おうとしていた気がする。
少しもやもやとするものの、気まずい空気に戻るのは御免だ。
「安室さん。仕入れるの間に合わなくて、今日分のコーヒー豆もう少しで切れそうで…。
お願いしてもいいですか」
「いいですよ!今度はAさんが店番お願いしますね」
「助かります、ありがとうございます」
そう言って安室は手早くエプロンを脱いで店を出て行った。
察しのいい彼だ。
きっとお昼休憩ついでに買い物に行ってくれるだろう。
残り少ない珈琲を二人分注ぎ、
「…情けない大人で申し訳ないんだけど、
大人っぽい君なら話を聞いてくれそうな気がして」
灰原の隣に座れば、
「面白そうだからぜひ聞かせてほしいわ」
楽しそうに一口飲んだ。
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Nattu(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!すごくすき…待つ…!嬉しい言葉が並んでいて元気になりますありがとうございますっっ;;仕事に精を出しつつ好きな文字書きに手を出せたらなあと思います*応援コメありがとうございます^^ (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - Sanさん» うあぁあ!コメントありがとうございますとても嬉しいです;;仕事で疲れていたので嬉しい言葉ばかりで身に染みますありがとうございます;;;頭には書きたいことだらけなので文字にできるよう努めて行きます〜! (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - お仕事なら仕方ないです!主様のお話すごく好きです!いつも応援してます!楽しみに待ってますヾ(๑╹◡╹)ノ" (8月26日 8時) (レス) @page25 id: 0664a97245 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - うあぁぁぉぉぉ!!最近から読まさせていただいているのですが、最高すぎて更新🆙をいつもいつも楽しみにしていました!お仕事は仕方ない、、応援してます❤️🔥💪楽しみにしてます!!! (8月26日 3時) (レス) @page25 id: c9bd71387a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - もなかさん» もなかさん初めまして!コメントありがとうございます!安室さんのことが好きな方に楽しんでいただけてとても嬉しいです;;ありがとうございます! (8月15日 0時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2023年8月1日 23時