78 ページ18
.
『暫くお休みさせてください』
このメッセージを送る寸前までは申し訳ないという気持ちもありつつ、あまりの多忙ぶりにその感情もすぐに消えてしまう。
すぐに降谷へと変貌してしまっていた。
それでも最近はそれが少しだけ違う。
(Aはここにいた時どんな仕事をしていたんだろうか)
時折、Aの影を探してしまう。
もう同じ警察という仕事をしているわけでもないのに、彼女はそれを嫌がっているというのに、一緒に仕事がしたかったという後悔が降谷を引き摺っていく。
とはいえ、忙しいことには変わりはない。
すぐに頭を切り替え、同僚達と業務に勤しむ。
「降谷さん」
「今いいか」
ここには自分を求めている仲間がいる。
だが、同時に寂しさを感じるのだ。
自分は仕事人間だ。
この仕事から離れてしまえば、きっと孤独になってしまう。
(嗚呼、僕は弱い)
周りにハンサムだとか仕事ができるだとか評価されたところで、一緒に遊びに行く友人すらいない。
そんな中でポアロの同僚達は自分にとって、拠り所になっていた部分もあった。
最初は利用するため、そんなつもりが温かい雰囲気に飲まれすっかりその一員として馴染んでいる。
同僚とはいえ仕事だけではない。
商店街の集まり、ポアロに来る客。
さまざまな繋がりがあって、いろいろな話をした。
その話はレベルや質が高いものではない、本当にただの雑談だ。
だが、それが普段ない降谷にとっては楽しく、そして苦しく。
(安室透君。君が羨ましいよ)
どちらも自分ではあるのだ。
ただ、そこで求めているのは皆安室という男で。
だからこそ、Aに惹かれてしまうのだ。
(自分よがりなんだ、結局)
さらに重くなった頭を冷ますように缶珈琲を額に押し当てる。
「降谷さん。
少しお疲れじゃないですか」
風見は申し訳なさそうに頭を下げた。
同じように自販機で珈琲を買って一口。
この部下はきっと気が付いている。
ポアロにいる元同僚は降谷にとってキーパーソンなのだと。
それだから故に、
「降谷さんがよければですけど…彼女の話、お聞きしたいです」
珍しく彼の方から話を振ってきた。
.
312人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nattu(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!すごくすき…待つ…!嬉しい言葉が並んでいて元気になりますありがとうございますっっ;;仕事に精を出しつつ好きな文字書きに手を出せたらなあと思います*応援コメありがとうございます^^ (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - Sanさん» うあぁあ!コメントありがとうございますとても嬉しいです;;仕事で疲れていたので嬉しい言葉ばかりで身に染みますありがとうございます;;;頭には書きたいことだらけなので文字にできるよう努めて行きます〜! (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - お仕事なら仕方ないです!主様のお話すごく好きです!いつも応援してます!楽しみに待ってますヾ(๑╹◡╹)ノ" (8月26日 8時) (レス) @page25 id: 0664a97245 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - うあぁぁぉぉぉ!!最近から読まさせていただいているのですが、最高すぎて更新🆙をいつもいつも楽しみにしていました!お仕事は仕方ない、、応援してます❤️🔥💪楽しみにしてます!!! (8月26日 3時) (レス) @page25 id: c9bd71387a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - もなかさん» もなかさん初めまして!コメントありがとうございます!安室さんのことが好きな方に楽しんでいただけてとても嬉しいです;;ありがとうございます! (8月15日 0時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Nattu | 作成日時:2023年8月1日 23時