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「こんにちはー!」
「コナン君、いらっしゃい。アイスコーヒーでよかったかな」
「うん!」
いつも座るカウンター席に昇るようにして座り、ランドセルを隣に置いた。
辺りを見回すも店の中には安室一人だ。
「あれ?梓さんは?」
「今日、皆さんお休みなんですよ。
マスターは今町内会の用事があるって出払ってて」
そう言い、男はにっこりと笑った。
正直、コナンにとってこの状況は好都合だった。
いつものように宿題を終わらせるついでに寄ったわけでもなく、
「そういえば、この間のご飯、安室さんが作ったってAの姉ちゃんから聞いたよ。
ありがとう!美味しかったよ」
「よかった。元気になってくれたようで」
以前の風邪の看病の礼だけを言いに来たわけではない。
「ねえ」
少しだけトーンを下げた声に安室の動きは一瞬だけ止まる。
何事もなかったかのように珈琲を淹れ始める彼に、
「安室さんはAさんの警察官時代を知ってるんじゃないの?」
直接疑問をぶつけた。
彼は動きを止めることなく黙ったまま、グラスに注ぐ。
そして、目の前のコナンに差し出して、
「それを知ってどうするんだい?」
カウンター越しににっこりと笑った。
それにお得意の子供らしい笑顔を向けて、
「興味本位?」
こてん頭を傾げた。
その仕草を見て、安室は深い溜息をついた。
(いつもなら安室さんをここまで問い詰めないんだけど、
Aさん絡みで感情的になってるこの人も気になるしな)
二人の間で恋愛感情が渦巻いているのは分かる。
ただそれ以上の何かが彼らの中にあるような気がしたのだ。
(もし、二人が同期なら、殉職した松田っていう刑事も同期だろうし、
そこの繋がりも…)
物思いに耽っていると、目の前に安室お手製のサンドイッチが置かれる。
「あれ?僕頼んでないけど…」
「学校帰りでお腹空いてるだろうと思って。
サービスだよ」
「…口止め料?」
「失礼だなあ。僕は善意で出しているだけなのに」
頬杖をついて彼はコナンを見つめた。
そして言った。
「僕とAさんが過去にどうだったかはさておき、
僕は彼女が好きだよ」
恥ずかしげもなく言う彼に、
「安室さんって意外と大胆だね」
こちらの体温が一気に上がっていくのを感じた。
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Nattu(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!すごくすき…待つ…!嬉しい言葉が並んでいて元気になりますありがとうございますっっ;;仕事に精を出しつつ好きな文字書きに手を出せたらなあと思います*応援コメありがとうございます^^ (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - Sanさん» うあぁあ!コメントありがとうございますとても嬉しいです;;仕事で疲れていたので嬉しい言葉ばかりで身に染みますありがとうございます;;;頭には書きたいことだらけなので文字にできるよう努めて行きます〜! (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - お仕事なら仕方ないです!主様のお話すごく好きです!いつも応援してます!楽しみに待ってますヾ(๑╹◡╹)ノ" (8月26日 8時) (レス) @page25 id: 0664a97245 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - うあぁぁぉぉぉ!!最近から読まさせていただいているのですが、最高すぎて更新🆙をいつもいつも楽しみにしていました!お仕事は仕方ない、、応援してます❤️🔥💪楽しみにしてます!!! (8月26日 3時) (レス) @page25 id: c9bd71387a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - もなかさん» もなかさん初めまして!コメントありがとうございます!安室さんのことが好きな方に楽しんでいただけてとても嬉しいです;;ありがとうございます! (8月15日 0時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2023年8月1日 23時