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「やっべえ…なんでこういう時に熱なんか…」
コナンは一人自室で横になっていた。
脇に挟んだ体温計は軽快な音を立て、高熱だと言っている。
蘭は大会で明日まで県外へ。
小五郎は町内会の付き合いで、早くても今晩にしか帰宅しない。
阿笠と灰原は、ちょうど阿笠の発明品を顧客に届けるという用事があり出掛けている。
つまり看病してくれる人間がいないのだ。
『ごめんね。できる限りのことはするから!
もし不安になったら、私のお母さんに電話してね!』
そう蘭に言われたものの、体調不良時に英理の食事を摂るのには気が引けた。
とはいえ、枕元には水筒とタオルだけ。
最低限のものしか置かれておらず不安になった。
(いくら高校生といえども…この熱であんまり動ける気がしねえ…うっわ…頭重くなってきた)
そんな時、部屋の奥で扉が開く音が聞こえる。
小五郎が帰ってくるにはあまりにも早すぎる。
泥棒か何かかと心臓の音が早くなろうとした時、
「あ…ごめん。びっくりした?」
ゆっくりと開いた扉の隙間から、Aが顔を覗かせた。
その手元には鍋がある。
(できる限りのことってそういうことか。助かった…)
困った顔をしてこちらを見るAを見て、思わず大きく息を吐いた。
蘭は急遽ポアロに駆け込んだところ、ちょうど開店準備をしていたAと出くわしたのだという。
状況が状況ということもあり、彼女はすぐに引き受けてくれた。
それも、
「A姉ちゃん。ポアロの方は大丈夫なの?」
「うん。
今日は安室さんもシフトに入ってるから。
コナン君自分がきついのにこっちの心配してくれてありがとね」
彼女が信頼する彼がいたからだ。
重い身体を起こし、Aが差し出してくれるスプーンに口づける。
温かく優しい味が広がる。
「美味しいね。ありがとう」
そう言うとAは眉を下げて笑う。
「よかった。
安室さんにそう伝えておくね」
Aは自分のことのように喜び、また嬉しそうにスプーンを差し出してきた。
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Nattu(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!すごくすき…待つ…!嬉しい言葉が並んでいて元気になりますありがとうございますっっ;;仕事に精を出しつつ好きな文字書きに手を出せたらなあと思います*応援コメありがとうございます^^ (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - Sanさん» うあぁあ!コメントありがとうございますとても嬉しいです;;仕事で疲れていたので嬉しい言葉ばかりで身に染みますありがとうございます;;;頭には書きたいことだらけなので文字にできるよう努めて行きます〜! (8月29日 3時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - お仕事なら仕方ないです!主様のお話すごく好きです!いつも応援してます!楽しみに待ってますヾ(๑╹◡╹)ノ" (8月26日 8時) (レス) @page25 id: 0664a97245 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - うあぁぁぉぉぉ!!最近から読まさせていただいているのですが、最高すぎて更新🆙をいつもいつも楽しみにしていました!お仕事は仕方ない、、応援してます❤️🔥💪楽しみにしてます!!! (8月26日 3時) (レス) @page25 id: c9bd71387a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - もなかさん» もなかさん初めまして!コメントありがとうございます!安室さんのことが好きな方に楽しんでいただけてとても嬉しいです;;ありがとうございます! (8月15日 0時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2023年8月1日 23時