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「ご馳走様でしたー!」
「A姉ちゃん美味しかったぜ!」
「Aお姉さん、ありがとう!」
彼らの笑顔が眩しい。
「いえいえ。
皆で一緒に準備したから美味しいんだよう。
こちらこそありがとね!」
最初は面倒を見るのが少し嫌と思ってしまったところもあるが、こんなに喜んでくれる姿を見るとその疲れも飛んでいた。
来てよかったとすら思わされていた。
机の片付けや花火の準備は少年達に任せ、
「歩美ちゃん、哀ちゃん手伝ってくれるかな」
「勿論」
「歩美、最後までお手伝いする!」
いい返事をする彼女達と並んで食器を洗う。
実家で食事を摂る以外に、こうしてにぎやかに食卓を囲んだことは子供の時あるいは警察学校の時以来ではないだろうか。
ふと懐かしくなり、笑みが零れる。
「Aお姉さん、嬉しそう〜」
その細かい変化に、歩美はすぐさま反応した。
思わず顔が赤くなる。
「だってこんなに大勢でご飯食べることないでしょ。楽しかったの」
そう言い張れば、哀と歩美は顔を見合わせて嬉しそうに笑った。
「もうそろそろ、花火できるって」
食器ももう少しで洗い終わるという時に、蘭が駆け寄ってきた。
慌てて皆で片付けて、彼らの元へと向かう。
もう花火の袋を開けていて、少年達の手には花火が準備されていた。
「もー!元太君達ずるい!哀ちゃん、行こ!」
釣られて彼女達も走り出す。
追いかけるようにして火元に着き、哀と蘭の間に入る。
「いきますよー」
安室の掛け声で蝋燭に火が灯される。
子供達は我先にと花火に火をつけ、明るい火の粉をまき散らした。
「きれー!」
「見てください!僕のぱちぱち火の粉が出るやつですよ!」
「あーずりー!俺のなんてえ!」
大はしゃぎで吹き出し花火をしている横で、Aの隣では真っ先に線香花火を持った少女。
その儚い光を見つめる大人びた表情が雰囲気と合っている。
それに張り合うように同じ花火に火をつけた。
彼女もそれに気が付いてAを見て口角を上げた。
静かに始まる戦い。
それながらも前の風景は美しい。
その対比に癒されていると目の前の影が動く。
安室が近づいてきて、Aの首からカメラを奪う。
そして、哀とAにカメラを向けられたタイミングで、
「あ」
自分の灯は地面に落ちて行った。
安室はくすくすと笑っていて、
「私の勝ちね。こんなことで動揺しちゃだめよ」
哀はふふんと鼻を鳴らした。
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Nattu(プロフ) - かるぴんさん» わーー!かるぴんさんんん!;;私の厚かましいお願いに応えていただきありがとうございます;;;とっても嬉しいです;;だいぶ回復してきたので再開いたします〜作品を好きでいてくれるかるぴんさんのお声もあって続けることができてます…!いつもありがとうございます!! (8月1日 23時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - Nattuさん!体調が芳しく無いのですね( ; ; )1日でも早く元気になりますように( ; ; )この作品が大好きです!(*´꒳`*) (7月28日 2時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます!気づくの遅くなってしまい申し訳ございません…!沢山嬉しい言葉があって励みになります。にこにこしながらコメント見させていただきました^^笑ゆっくりではありますが温かく見守っていただけると幸いです。いつもありがとうございます! (7月28日 1時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 初めまして今までたくさん夢小説を読んできましたが、こんなに心が動かされたのは初めてです!甘すぎない雰囲気が大好きです!これからも2人がどうなるのか陰ながら見守らせていただきます!! (7月5日 0時) (レス) @page2 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2023年7月4日 0時