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「安室さん知ってます?



今日、Aさん合コンに行くんですよ」




そう言うと、目の前の男の手は止まる。
梓を見てにこにこと笑みを向けて



「へえ。Aさん恋人いらっしゃらないみたいですし、新たな出会いを求めるのはいいことですね」



平然とそう言った。



(ほんとはそう思ってない癖に)



梓もマスターもなんとなく気づいてはいた。
静かに安室とAの間でお互いの感情が交差していることに。
それに気づかない振りをして一緒に働いてきたのだ。

Aも安室も休み時にマスターは言った。



『そろそろあの二人に何かあってもいい頃合いだとは思うんだけどねえ』



安室目的でポアロに通う女性客達には悪いが、二人はお似合いだと感じる。
梓もマスターと同じく時間の問題と思っていた。

しかし、現実はそううまくはいかない。
彼らの間には変わらず少しだけ距離がある。
否、それをわざと縮めようとしていないというべきか。



(合コンって聞いたら少しは焦ると思ったんだけどなあ)



我ながらお節介だと思いつつも、安室にAの状況を明かす。
そうすることで、少しはその距離も縮むだろうと思っていたのだ。


「安室さんは彼女作らないんですか?」



「僕は一人で自由気ままにするのが好きなので暫くはいいですかねえ。


こうして仕事しているほうが楽しいので」



「ファンの子が聞いたら泣いちゃいますよ」



「はは。でも僕はファンの方が思ってるような格好いい男じゃないですよ」



そう軽口を叩いてまた手を動かし始めた。
梓との話に真剣に取り合う気はないらしい。

その時はそのように感じていた。



「お疲れ様でした」



締め作業を安室に任せ、梓は先に店を出た。
だが、店内に定期券を置いてきたことに気が付いて、また店へと戻る。
静かに裏口の扉から入り自分のロッカーを開けた時、



「梓さんから聞きました。今合コンに行かれてるって。


Aさんが羽目を外してお酒を飲んでないか気になって電話しちゃいましたよ」



そうけらけらと笑いながら話す安室の声が部屋の向こうから聞こえてきた。
バッグヤードの扉の隙間から声のする方を見る。
安室はカウンターに座り、頬杖ついて




「馬鹿にしてる?失礼ですね、心配してるんですけどね」




悪戯っぽい笑みを浮かべつつも、優しい瞳で空を見つめていた。


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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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Nattu(プロフ) - かるぴんさん» わーー!かるぴんさんんん!;;私の厚かましいお願いに応えていただきありがとうございます;;;とっても嬉しいです;;だいぶ回復してきたので再開いたします〜作品を好きでいてくれるかるぴんさんのお声もあって続けることができてます…!いつもありがとうございます!! (8月1日 23時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - Nattuさん!体調が芳しく無いのですね( ; ; )1日でも早く元気になりますように( ; ; )この作品が大好きです!(*´꒳`*) (7月28日 2時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます!気づくの遅くなってしまい申し訳ございません…!沢山嬉しい言葉があって励みになります。にこにこしながらコメント見させていただきました^^笑ゆっくりではありますが温かく見守っていただけると幸いです。いつもありがとうございます! (7月28日 1時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 初めまして今までたくさん夢小説を読んできましたが、こんなに心が動かされたのは初めてです!甘すぎない雰囲気が大好きです!これからも2人がどうなるのか陰ながら見守らせていただきます!! (7月5日 0時) (レス) @page2 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu | 作成日時:2023年7月4日 0時

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