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買い物から帰ってきた時、何やら梓は客を交え楽しそうに談笑していた。
そこにはAがいる。
会話が気になったが、とりあえず冷蔵庫に入れないととキッチンに入ると、




「Aちゃん、今彼氏いないんだ」




客の言葉に耳が反応する。



「今っていうか最後にいたのはだいぶ前ですよ」


「しっかりしてるしモテそうなんだけどねえ」


「梓さんにそう言っていただけるのは嬉しいんですけど、残念ながら」



食材を詰め終わり、カウンター越しに



「最後に付き合ってた人ってどんな方だったんですか?」



声をかけた。

唐突のことにAの目は丸くなった。
そして小さく唇を噛む。
梓は安室の言葉に便乗するように、期待をした目でAを見ている。
それに負けたように、




「前職の、同期です」




小さな声でそう言った。




「へえ…同期…の方ですか」




思わず声が漏れた。



「職場恋愛だ!なんかいいなあ!」



「ええ…まあ。


でももう終わったことですし」



楽しそうにする梓とは反して、気まずそうな顔をする彼女。
そして思い出したかのように、



「あ、そういやタイマー入れっぱなし」



慌ててその輪から抜けていく。
キッチンに入り、安室の後ろを通って鍋の火を止めた。
そのまま梓達の談笑する様子をちらりと見た後、店の裏口へと消えて行った。

鍋を確認すれば、まだパスタは茹で上がっていない。
タイマーも鳴るまでまだ時間がある。
追いかけるようにして梓がこっちに来たのを見て、またコンロの火をつける。



「梓さん、ここお願いできますか。


裏にごみ捨ててきます」


「はーい!任せてください!」



裏口の扉横にあるごみ袋にはあともう少し中身が入りそうだ。
それをとり、外に足を踏み出せば、



「あっ…お疲れ様です」



裏口の小さな階段に座って休憩をとる女が一人。
慌てて立ち上がって安室と向き合った。
その手には煙草があって、



「珍しいですね。Aさん、煙草吸われるんですね」



「喫煙者ってほどじゃないですけどね。ほんとにたまに…です」




俯いてその手を切なそうに見る。
ふと、足元に煙草の箱が置いてあるのに気づく。



(この銘柄…)



箱に手を伸ばし、少しだけ見つめた後彼女に手渡す。
Aは受け取って、煙草を揉み消して中に入っていく。




「付き合っていた同期っていうのはまさか…」




警察学校時代の二人の姿とつい最近見た線香と並んだ煙草を思い出していた。


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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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Nattu(プロフ) - かるぴんさん» わーー!かるぴんさんんん!;;私の厚かましいお願いに応えていただきありがとうございます;;;とっても嬉しいです;;だいぶ回復してきたので再開いたします〜作品を好きでいてくれるかるぴんさんのお声もあって続けることができてます…!いつもありがとうございます!! (8月1日 23時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - Nattuさん!体調が芳しく無いのですね( ; ; )1日でも早く元気になりますように( ; ; )この作品が大好きです!(*´꒳`*) (7月28日 2時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます!気づくの遅くなってしまい申し訳ございません…!沢山嬉しい言葉があって励みになります。にこにこしながらコメント見させていただきました^^笑ゆっくりではありますが温かく見守っていただけると幸いです。いつもありがとうございます! (7月28日 1時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 初めまして今までたくさん夢小説を読んできましたが、こんなに心が動かされたのは初めてです!甘すぎない雰囲気が大好きです!これからも2人がどうなるのか陰ながら見守らせていただきます!! (7月5日 0時) (レス) @page2 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nattu | 作成日時:2023年7月4日 0時

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