50 ページ16
.
.
.
.
Aを意識し始めたのは警察学校の頃からだった。
誰にでも分け隔てなく優しく、凛とした雰囲気をもっていて。
「萩原君、この前のテスト大丈夫だったの?」
「おう!A様様のお陰で!」
「ならよかった。今度はぎりぎりになるまで勉強放置しちゃだめだよ」
特別美人だとかスタイルがいいというわけではないが、これまで萩原が相手をしてきたような女とは違っていた。
なんとなく萩原含め自分達が女警達の一部で人気なことは分かっていた。
ちやほやされて嫌に思う奴はあまりいないだろう。
その時の荻原も何となくそれを鼻にかけていた。
しかし、Aはいくら距離が近づいていても萩原をただの同期としてしか見ていなかった。
むしろ世話がかかる弟くらいに見ていたかもしれない。
仲が良い方だとは思うが。学校内でも卒業してからもそれ以上の付き合いはなかった。
というのも分かっていたのだ。
「まだ、零が好き?」
あの時の言葉は一か八かだった。
彼女は自分ではなく、隣にいる降谷を見ていた。
そして、安室も彼女を見ていた。
直接交わるでもなく、静かな二人の想いの交差。
(降谷ちゃん。お前さんだけ抜け駆けはずるいんじゃないの)
卒業後、彼らは連絡をとっていないだろう。
そう思い、今こうしてデートを何度か重ねている自分の方が有利だと思った。
Aには悪いが、いち早く自分のものにしたい、そういった欲が溢れていた。
「じゃあ、付き合お。俺達」
そんな自分の言葉に対し、Aは承諾した。
思ってもみない結果に驚きと喜びが混在し、軽いパニックになってしまった。
萩原の反応に彼女はくすくすと笑っていて、
「萩原君、そんな顔するんだ。
初めて見た」
照れた顔のAを萩原も初めて見た。
それからの交際は順調だった。
同棲とまではいかないものの半同棲状態で、お互いの家を行き来していた。
そしていつもAは言っていた。
「女の子にモテモテの荻原君と私が付き合っててもいいのかな」
それを聞くたびに
(それはこちらの台詞だ)
と思い、口を塞ぐ。
「俺はAちゃんがいーの。
他の女の子は別にいいよ」
その返事に毎回恥ずかしそうに嬉しそうに俯くAが愛おしかった。
嫌よ嫌よも好きのうち。
それを具現化したような姿が彼女で、その存在が萩原にとって支えとなっていた。
.
261人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nattu(プロフ) - かるぴんさん» わーー!かるぴんさんんん!;;私の厚かましいお願いに応えていただきありがとうございます;;;とっても嬉しいです;;だいぶ回復してきたので再開いたします〜作品を好きでいてくれるかるぴんさんのお声もあって続けることができてます…!いつもありがとうございます!! (8月1日 23時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - Nattuさん!体調が芳しく無いのですね( ; ; )1日でも早く元気になりますように( ; ; )この作品が大好きです!(*´꒳`*) (7月28日 2時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます!気づくの遅くなってしまい申し訳ございません…!沢山嬉しい言葉があって励みになります。にこにこしながらコメント見させていただきました^^笑ゆっくりではありますが温かく見守っていただけると幸いです。いつもありがとうございます! (7月28日 1時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 初めまして今までたくさん夢小説を読んできましたが、こんなに心が動かされたのは初めてです!甘すぎない雰囲気が大好きです!これからも2人がどうなるのか陰ながら見守らせていただきます!! (7月5日 0時) (レス) @page2 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Nattu | 作成日時:2023年7月4日 0時