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目の前の安室透という男は何食わぬ顔でカフェ店員として働いている。
爽やかな笑みの裏側で、彼と仲の良かった彼らは殉職したと風の噂で聞いた。
(それなのに、どうしてこの人はこんなに平気な顔をしていられるのだろうか)
「じゃあ、お疲れ様でした」
「うん、お疲れ様あ」
「お疲れ様です」
未だポアロで働いている安室達を置いて、愛車を止めた駐車場へと足早に向かう。
いつもなら流すオーディオもかけず、らしくもなく煙草を咥えてエンジンを掛ける。
(今日こそ、降谷零が少しは出ると思っていたんだけど)
街はだんだんとクリスマスへの準備が始まっている。
そのせいか身を寄せ合う男女も増えてきた。
市街地を抜け、人気のない通り。
目的地が見えたと同時に煙草の火は終わりを迎える。
「よかった。いい天気で」
車を降り、煙草を胸ポケットに入れ彼の前に立つ。
「久しぶりだね。萩原君」
手を合わせその箱を置いた。
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「お!!Aちゃんじゃん!久しぶりい!」
管轄の警察署に訪れていると、たまたま同期と遭遇した。
彼はAを見つけ、大きく手を振りながら近づいてきた。
「萩原君!久しぶり!
萩原君、今ここ配属だったんだ」
「んやんやあ。たまたまここに寄る用事があって。
そしたら、Aちゃんに会ったって訳。
運命ってやつ??」
にやにやしながら彼は言う。
それが萩原らしいといえばそうだが、なかなか言われることもない言葉に少しだけどきりとしてしまう。
それを誤魔化すようにして咳払いして、
「って私行かなきゃ。久々に会えて嬉しかった、またね」
そう言って外に出ようとした時、強く腕を引かれる。
「そういや、俺達連絡先登録してないよね。
交換だけでもしよ」
断ろうとしたが、もう既に彼の片手には携帯電話があった。
諦めてすぐに彼と交換すれば、
「ありがとさん!
なかなか同期と会うこともないし、
また飲んだりしようやあ」
へらへらと笑う彼に見送られながら、署を後にする。
車に乗り、重い溜息が漏れる。
タイミングよく携帯電話が震えて、
『早速なんだけど、いつ飲みに行く?』
軽い誘い文句が来て、また溜息が漏れた。
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Nattu(プロフ) - かるぴんさん» わーー!かるぴんさんんん!;;私の厚かましいお願いに応えていただきありがとうございます;;;とっても嬉しいです;;だいぶ回復してきたので再開いたします〜作品を好きでいてくれるかるぴんさんのお声もあって続けることができてます…!いつもありがとうございます!! (8月1日 23時) (レス) id: 3f1ef1106e (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - Nattuさん!体調が芳しく無いのですね( ; ; )1日でも早く元気になりますように( ; ; )この作品が大好きです!(*´꒳`*) (7月28日 2時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます!気づくの遅くなってしまい申し訳ございません…!沢山嬉しい言葉があって励みになります。にこにこしながらコメント見させていただきました^^笑ゆっくりではありますが温かく見守っていただけると幸いです。いつもありがとうございます! (7月28日 1時) (レス) id: 37a11942bb (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 初めまして今までたくさん夢小説を読んできましたが、こんなに心が動かされたのは初めてです!甘すぎない雰囲気が大好きです!これからも2人がどうなるのか陰ながら見守らせていただきます!! (7月5日 0時) (レス) @page2 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2023年7月4日 0時