◇ ページ9
階段を下り、ロッカーの並ぶ廊下へと足を進める。
「そのことで、少し落ち込んでいるんだろう？」
「…何でも分かるんだね」
「ふふ。君は素直に顔に出るから」
「そんなつもり無いけどな…」
「Aちゃんのことになるとね」
休憩の時晴矢に言われたのと同じようなことを言われ、俺は頬を掻く。気付いてないのは、俺だけみたいだ。
「女性との付き合いは、ゲームのように正解、不正解が決まっているわけじゃないから」
「そうだね…」
「でも決まっていないということは、選択肢は無限にあるってことでもあるんだよ」
「え…？」
「例え君の選んだ選択肢が君にとって間違いだったとしても、彼女にとってどうであるかは分からない」
誰も居ない廊下。閉め切られた窓から射す夕日が、練習着を通して俺の肌に汗を滲ませる。
俺の方に振り返ったアフロディは、そんな暑さを忘れさせるような、凛とした姿で立っている。
迷っている俺に対して、彼は既に答えを知っている様子だ。
「選択肢が間違いかどうかは、それほど大事じゃない。どれだけ相手を想うか、相手がどれだけ自分を想っているか。
僕は、それが重要なんじゃないかと思うんだ」
「アフロディ…」
「…彼女に選ばれたのは、君なんだから。自信を持って良いんだよ」
そう言うと彼は微笑んで、その神妙な面持ちは崩れる。言うことは言ったとでも言う様に、アフロディは自分のロッカーへと足を進めた。
そんな彼を追うように、俺もロッカーを開き靴を履き替える。
「…俺、ずっと大人びてるって言われてきたけど…アフロディと居ると、全部嘘だったって思わざるを得ないよ」
背中合わせでロッカーと向かい合うアフロディに告げると、笑い声が返ってくる。
「そんな事無いさ。君の冷静な判断能力と自己管理能力、物事を合理的にやり遂げる力量は、僕に限らず皆が認めているよ。
Aちゃんが絡むと、例外みたいだけどね」
「まだ慣れなくて…」
「安心して。僕という愛の神が、君達の間を取り持つからね」
「それを言うならキューピッドじゃないの？」
「愛の神が、僕のあだ名だからね。中学でも、サッカーにおいては神を名乗らせて貰っていたし」
「…確かに」
妙に納得して、俺はロッカーを閉じてまた彼の方に向き直る。丁度彼もこちらを向いて、俺に微笑んだ。
「じゃあ、校門まで一緒に帰ろうか」
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輝(プロフ) - 布都御霊さん» コメントありがとうございます。最後まで完結できたのは皆様のお陰です！温かいお声、本当にありがとうございます(*^^*)キュンキュンできるようなお話を書けるようこれからも精進して参ります！ (2019年6月24日 20時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
布都御霊(プロフ) - 「君に、初めまして」完結おめでとうございます。何度も泣かせていただきました(泣)もう、この2人の初々しい見てるだけでキュンキュンするようなお話が見れなくなるのかと考えるとまた涙がぁ〜。(/_;) (2019年6月17日 3時) (レス) id: ac233dda56 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 明日香さん» いつもコメントありがとうございます(^^)出来るだけ早く更新できるよう頑張ります…！ (2018年8月5日 7時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 久しぶりの更新ですね...！ずっと待ってました！！ありがとうございます^ ^今回も楽しく読ませていただきました。次回の更新も楽しみにしていますね！ (2018年7月31日 20時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 大丈夫ですよ^^更新されるまで、気長にずっと待ち続けます。応援してますね^^ (2018年6月18日 22時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2018年3月26日 16時
