◇ ページ35
そんなことを言ってしまった日から時間はそう経っていない。
「いらっしゃい、A」
「ヒロト君…お邪魔します」
Aがお日さま園に来たのは、夕方のことだった。
彼女がここを訪れるのはこれで二回目だ。けれど、今日彼女を呼んだのは俺じゃない。
「お待ちしてました、風丸さん、神月さん。こちらへどうぞ」
風丸君のお母さんは初めて見たけど、かなりAと仲が良さそうだ。何となく安心したように胸の辺りが温かくなる。
奥へ進む二人の背中を見送り、俺はリビングに戻った。
そう、今日Aを招いたのは父さん。彼女の…お日さま園への入園について話をする為だ。
「何か緊張しちゃうよね。神月ちゃんが家族になるかもなんて！」
「浮かれんなよ、ヒロト」
「別に浮かれてなんか無いってば…」
今のままで進めば、Aは吉良財閥の跡取りである俺のパートナーになって、父さんの義理の娘という立場になる。
つまりAは、現吉良財閥最高責任者の娘になるようなものなのだ。
父さんは、そんな彼女を出来るだけ自分の側に置き、さらに質の良い教養を与えてやりたいのだろう。
その方が、将来安心して彼女を迎えられる。財閥の長として、そこを怠る事が出来ないのは当たり前だ。
だから、Aをお日さま園に…吉良財閥の元に引き取りたい。
父さんはつい先日、Aのお母さんの居る施設へと足を運び、直々にそう伝えたと言う。
俺としては…彼女を縛り付けるようで、正直言えば罪悪感と言える感情しか湧いてこない。
「神月の母親、まだあいつと一緒に暮らせるような状態じゃねぇんだろ？」
「ずっと風丸の家に居候しているより、うちに来た方が彼女も気を遣わないで居られると思うのだがな」
晴矢と風介が言えば、緑川はうんうんと首を動かす。俺だって、二人の考えには大いに賛成したい。
ただ、少し前にAとこの話をした時、彼女はあまり気が進まない様子だった。だから、無理強いはしたくないんだ。
それに、風丸君と彼女は幼馴染。お互い気を許している間柄だし、彼の家が居心地の悪い場所であるはずが無い。
こればかりは、A次第。ただ、彼女と一緒に暮らせたら…なんて、少しの期待を胸の奥で抱きながら、俺は小さく息を吐いた。
彼女が笑顔で居られる道を、選んで欲しい。
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輝(プロフ) - 布都御霊さん» コメントありがとうございます。最後まで完結できたのは皆様のお陰です！温かいお声、本当にありがとうございます(*^^*)キュンキュンできるようなお話を書けるようこれからも精進して参ります！ (2019年6月24日 20時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
布都御霊(プロフ) - 「君に、初めまして」完結おめでとうございます。何度も泣かせていただきました(泣)もう、この2人の初々しい見てるだけでキュンキュンするようなお話が見れなくなるのかと考えるとまた涙がぁ〜。(/_;) (2019年6月17日 3時) (レス) id: ac233dda56 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 明日香さん» いつもコメントありがとうございます(^^)出来るだけ早く更新できるよう頑張ります…！ (2018年8月5日 7時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
明日香 - 久しぶりの更新ですね...！ずっと待ってました！！ありがとうございます^ ^今回も楽しく読ませていただきました。次回の更新も楽しみにしていますね！ (2018年7月31日 20時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 大丈夫ですよ^^更新されるまで、気長にずっと待ち続けます。応援してますね^^ (2018年6月18日 22時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2018年3月26日 16時
