◇ ページ9
無かった、けど…。
「…ごめんね、あんなこと言って」
「そんな。謝らないで」
改めて考えると、すごく申し訳ない。あの一瞬の感情に任せて、神月さんに恥ずかしい思いをさせてしまった。
俺達は天文部の部室を借りて、二人でお昼ご飯を食べていた。誘ったのは勿論俺だ。朝のことを、謝りたくて。
「あの子達が、神月さんより自分達の方がずっと偉いような態度でいることに、すごく腹が立って…俺が神月さんを誰よりも頼ってるって分かったら、そういうことも無くなるかな…って」
自分勝手にそう判断して、皆が居る教室であんなことを言った。
「逆にあの子達を怒らせてしまったかな…」
「…それでも、良いよ」
「え？」
「私ね。あそこで基山君が私を庇ってくれたとき…少しだけ、優越感を感じたの」
神月さんはお弁当を食べる手を止め、俯いた。
「私を基山君から離れさせようとした子達じゃなくて、基山君は私を選んでくれるんだって…」
「神月さん…」
「本当に私、何処かで…あの子達を嘲笑ってるのかもしれない…」
神月さんの手に力が入ったのが分かった。握られたお箸が擦れて、無機質な音が鳴る。
「私もあの子達と一緒だ…。だから、また何か言われたって、言い返せないよ…」
神月さんの声が震えているのが分かる。俯いて丸くなった神月さんの背中に、そっと触れる。
「神月さん…そんなことないよ」
神月さんの視線が、俺へと向けられる。俺は手に持っていたお弁当箱を机に置き、彼女の方へと体を向ける。
「神月さんはその気持ちを表に出して、人を傷付けたりはしないし、そういうことを考えるのが悪いことだって、自分で自分を抑えられてる」
「…うん」
「頭のなかで思うくらい、誰だってするよ」
「…基山君も、そういうこと思う…？」
「うん。嫉妬もするし、朝みたいにイライラすることだってある」
そっか…。と、神月さんは少しだけ微笑んだ。まだ暗いその顔を覗きこんで、俺はそっと呟いてみる。
「でも、そういう気持ちを持ってくれるってことは…俺のこと、好きでいてくれてる証拠かな？」
「へっ…あ、いやっ…」
「…ははっ。ごめん、冗談」
顔を真っ赤にして、神月さんは俺を睨んだ。
ちゃんとそう思ってくれてたら良いなって、俺の気持ちだよ。
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狩間篤花(プロフ) - リベリさん» コメントありがとうございます！お久しぶりですー(°▽°)二人の関係、楽しんで書かせてもらっています！四章の方で頑張っておりますので、そちらもよろしくお願いいたします(о´∀`о) (2018年1月4日 22時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - お久しぶりです!!本当にいつ見ても感動します!!風介...二人の為に...優しいですね!!どんどんいい方向に進んでいますし、二人が進展する事を願っています!!頑張って下さい!!^ω^/ (2017年10月29日 2時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» 心配をお掛けして申し訳ございません…！出来るだけ更新できるよう、最善を尽くして参ります(о´∀`о) (2017年9月5日 23時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - 狩間篤花さん» わぁ...！本当ですか！？嬉しいです！！更新なさっていなかったので、心配しました...！これからも更新頑張って下さい！！ (2017年9月2日 17時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» これから大会編の方も更新していきますので、よろしくお願いいたします(о´∀`о) (2017年9月1日 22時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年6月27日 16時
