◇ ページ23
「…はい、しっかりと聞かせていただきましたよ。約束通り、全ての教科で学年トップに立ったようですね」
いつもと変わらない場所で、父さんはそう言って湯飲みに口をつけた。俺は、静かにその姿を見つめる。
「よく頑張りました」
「…ありがとうございます」
確かに、父さんは俺のことを褒めてくれている。でも俺は、何故かそれを素直に受け止められなかった。嬉しいと思えなかったんだ。
神月さんの言葉には、あんなにも気持ちが溢れたのに。
「その調子で、次の試合でも勝利を納めるのですよ」
「はい」
でも、そんなことを気にしてる暇はない。明日の練習をどう使うかで、試合の結果が変わるかもしれないんだ。部活の後自主練で残って、雷門の試合を見て…
「…いつにも増して真剣な眼差しですね」
「え…」
突然、父さんはそう言って俺の方をじっと見つめた。珍しい、自分からそんな風に話を変えるなんて。
「それも、神月さんへの気持ちですか」
「…」
「一度拝見してみたいものですね。お前をそこまで夢中にさせる人物を」
「…俺も、神月さんに会って欲しいです」
そう言いながらも、何となく神月さんを父さんとは会わせたくなかった。きっと父さんは、神月さんに俺から離れるよう余計なことを言うだろうから。
だけど神月さんは素敵な人だ。彼女の一生懸命になってくれる姿は、きっと誰にも真似できない。
そんな彼女を見てほしい気持ちは、俺の心の中に少なからずあった。
「今回の定期考査で、彼女もまた良い成績だったようで」
「俺の勉強に、毎日付き合ってくれたんです。一緒に頑張ろうって言ってくれて」
「今回の結果は、彼女が居てくれたお陰なんです」
「…そうですか」
それだけ言って、父さんは庭の方に目を向けた。鹿威しがカコンと鳴り響く。
静かな時間。ふと頭に浮かぶのは、また神月さんのことだ。一緒に歩いて、駅でバイバイと手を振った彼女の顔は、悲しそうで。
「…」
今は、風丸君と晩御飯でも食べているだろうか。…ちゃんと笑っていたらいいな。
「…しっかりと考えるのですよ、ヒロト」
「え？」
俺が何も言わずにいると、父さんはゆっくりと立ち上がった。それは、会話の終了を意味する。
「女性と付き合いを始めると言うことが、お前の場合何を意味するのかを」
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狩間篤花(プロフ) - リベリさん» コメントありがとうございます！お久しぶりですー(°▽°)二人の関係、楽しんで書かせてもらっています！四章の方で頑張っておりますので、そちらもよろしくお願いいたします(о´∀`о) (2018年1月4日 22時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - お久しぶりです!!本当にいつ見ても感動します!!風介...二人の為に...優しいですね!!どんどんいい方向に進んでいますし、二人が進展する事を願っています!!頑張って下さい!!^ω^/ (2017年10月29日 2時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» 心配をお掛けして申し訳ございません…！出来るだけ更新できるよう、最善を尽くして参ります(о´∀`о) (2017年9月5日 23時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - 狩間篤花さん» わぁ...！本当ですか！？嬉しいです！！更新なさっていなかったので、心配しました...！これからも更新頑張って下さい！！ (2017年9月2日 17時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» これから大会編の方も更新していきますので、よろしくお願いいたします(о´∀`о) (2017年9月1日 22時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年6月27日 16時
