◇ ページ3
「…どうしてですか」
「…おや。お前なら快く了承してくれると思っていましたが」
父さんは驚いたように声の調子を変えたが、表情はそのまま。こうは言いながらも、きっと俺が反抗することを分かっていたのだろう。
「やはり恋心言うものには逆らえないというわけですか」
「…」
「だからお前を永世第一に入学させたかったのです。異性の居ない空間で、何に邪魔されることもなくただ勉強をさせてやりたかった」
「吉良財閥を継ぐ人間に、そのような気持ちは不必要ですから」
俺は黙って、父さんの握る湯呑みの中で起きる、小さな波を見つめていた。
それは上に上がり、父さんの口元へと運ばれ、また元の位置へ戻ってくる。
「納得がいかないようですね」
「…俺は、神月さんと時間を過ごすことで、勉強に支障を来しているとは思いません」
「来してからでは遅いから言っているのです」
「俺はこれからも、学業もサッカーも疎かにすることはありません。だからと言って、神月さんとの関係を断つつもりもありません」
「…ほう」
「俺は、神月さんが好きなんです」
俺はハッキリと、そう言いきった。もう想いに迷いはなかったから。
「俺は、今まで他人との関係を最低限で済ませていました。人に何の感情も感じてこなかった。…でも、神月さんは違うんです」
「違う、とは？」
「…もっと知りたいと、思えるんです。一緒に居たくて、守ってあげたいと思える存在なんです」
俺の頭には、初めて神月さんと会った入学式での記憶が、鮮明に浮かんでいた。夢の中で歩いた景色も、俺の視界をオレンジ色に染め上げる。
「父さんからしたら、馬鹿なことかもしれない。でも俺には…神月さんが、必要なんです」
「息子の異性との付き合い方に、とやかく言うつもりはありませんでした。何せ、その年での恋愛など、長くは続きませんから」
「ならっ…」
「しかしヒロト。お前は吉良財閥の跡取りなのだ。そんなお前に、少しの時間も無駄にして欲しくないのです」
父さんは湯呑みを自分の前に置いた。鹿威しが、カコンと大きな音を鳴らす。
「しかしそこまで言うのなら、お前に一つ課題をやろう」
「…はい」
「これを達成することが出来たなら、もう一度この事について話しましょう。出来なければ、この話は全て無かったことになります」
断る理由など、俺は一つも持っていなかった。
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狩間篤花(プロフ) - リベリさん» コメントありがとうございます！お久しぶりですー(°▽°)二人の関係、楽しんで書かせてもらっています！四章の方で頑張っておりますので、そちらもよろしくお願いいたします(о´∀`о) (2018年1月4日 22時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - お久しぶりです!!本当にいつ見ても感動します!!風介...二人の為に...優しいですね!!どんどんいい方向に進んでいますし、二人が進展する事を願っています!!頑張って下さい!!^ω^/ (2017年10月29日 2時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» 心配をお掛けして申し訳ございません…！出来るだけ更新できるよう、最善を尽くして参ります(о´∀`о) (2017年9月5日 23時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - 狩間篤花さん» わぁ...！本当ですか！？嬉しいです！！更新なさっていなかったので、心配しました...！これからも更新頑張って下さい！！ (2017年9月2日 17時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» これから大会編の方も更新していきますので、よろしくお願いいたします(о´∀`о) (2017年9月1日 22時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年6月27日 16時
