◇ ページ17
先生から許可が出たのだから、躊躇する理由は少しもない。俺は神月さんの手を引いて、授業開始のチャイムと共に教室を出た。
廊下は静かだったけど、時折教室の窓から、生徒達の視線が飛んでくるのを感じる。俺はその度に、神月さんの手をギュッと握った。
「…ありがとう。色んな気持ちが整理できなくて…」
「気にしないで、俺が勝手にしたことだよ」
「ごめんね、迷惑かけてばっかり…」
「俺が好きでやってるんだ。迷惑だなんて少しも思わない」
俺の声に、神月さんはもう一度ありがとうと呟く。それから口を閉じた。
階段を下りるときも、俺達は手を繋いでいた。神月さんは気を遣って離さなかっただけかもしれない。それでも、しっかりと俺の手を握り続けてくれていた。
そこから、彼女の体温を感じて。側に居てくれていると実感できる。
「…その気持ちってさ。俺に話してもらうことって出来るかな？」
「…駄目、だよ」
でも俺のそんな温かな気持ちとは裏腹に、神月さんの口から放たれた言葉は、俺の胸に鋭く突き刺さる。
「そっ、か…ごめん」
「…あ、違っ…」
痛みのせいでちゃんと返事も出来なくて、出しゃばったことを言ったな…なんて、恥ずかしくなった。
そのタイミングで、廊下の突き当たりに保健室が見えてくる。俺は彼女の手から自分の手をほどき、歩くスピードを速めた。少しも振り向かないで、足を進める。
神月さんと同じ速さだった足音がズレていって、段々と遠ざかる。それが彼女と俺の心の距離のように感じて、俺は俯いた。
一方的に色々押し付けすぎていたかもしれない。だって、そうだ。俺達はまだ知り合って数ヵ月なのに…。
「基山君っ…」
「！」
弱々しい声に、やっと振り返る。神月さんは俺を見てそのまま言葉を紡いでいった。
「基山君に話せないのは…話したくないからじゃなくてっ」
「…し、神月さん」
「話したら、全部っ…溢れちゃうから…だからっ…迷惑かけたくなかっただけで…誤解するような言い方して、ごめん…」
俺の顔を見つめながら、ポロポロと涙をこぼして神月さんは謝る。ここまで我慢していたものが、彼女の涙と同じように溢れ出した。
「…！」
「ゆっくりで良い。泣きながらでも良いから…全部言ってよ、俺に。神月さんの全部を受け止めるって俺、約束するから」
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狩間篤花(プロフ) - リベリさん» コメントありがとうございます！お久しぶりですー(°▽°)二人の関係、楽しんで書かせてもらっています！四章の方で頑張っておりますので、そちらもよろしくお願いいたします(о´∀`о) (2018年1月4日 22時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - お久しぶりです!!本当にいつ見ても感動します!!風介...二人の為に...優しいですね!!どんどんいい方向に進んでいますし、二人が進展する事を願っています!!頑張って下さい!!^ω^/ (2017年10月29日 2時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» 心配をお掛けして申し訳ございません…！出来るだけ更新できるよう、最善を尽くして参ります(о´∀`о) (2017年9月5日 23時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - 狩間篤花さん» わぁ...！本当ですか！？嬉しいです！！更新なさっていなかったので、心配しました...！これからも更新頑張って下さい！！ (2017年9月2日 17時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» これから大会編の方も更新していきますので、よろしくお願いいたします(о´∀`о) (2017年9月1日 22時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年6月27日 16時
