chapter:11 同床異夢 ページ2
俺達の住むお日さま園の奥に父さんの部屋がある。表からは見えない廊下の向こう、襖で遮られた空間が、父さんの和室だ。
ここに入るのはいつ振りだろう。呼ばれた時の記憶はいつも、良いものであった試しがない。
静かに俺は、襖を開けた。
「…父さん」
「あぁ、ヒロト。…そこに座りなさい」
「はい」
「今日の学校はどうでしたか？」
普段は俺のことを放ったらかしでいるのに、俺と二人になると、父さんはこうして学校の話を聞こうとする。
「今日は社会の選択科目と第二語学、それから国数英が二限ずつありました。先週の数学の小テストの結果は前回と変わらず、満点でした」
それはただの親子の会話ではない。
俺が毎日、父さんの息子として相応しい生活をしているかどうかを確かめる、抜き打ち検査のようなものだ。
「そうですか。日々頑張っているようですね」
「吉良財閥を継ぐものとして、当たり前のことです」
「お前のような誠実な息子を持つことができて、私は幸せです。…しかし」
父さんは声の調子を変えず、柔らかい声で続けた。俺は正座する足を組み直し、背筋を伸ばす。
「最近、お前の生活に、少し乱れが見えると聞きました」
その言い回しに、俺は違和感のようなものを覚える。誰かからそう話を聞いた、ということだろう。確かに、父さん自身が俺のことを毎日見ているなんて考えづらい。
そうなれば、誰が父さんに伝えたのだろう。
「確かに昨日も帰りが遅かったようですし…夜は誰かと話すような声が部屋から聞こえるとか」
父さんはお茶をすすると、静かに俺を見た。
手に力が入る。父さんがこうして俺を見るときは、必ず俺のことについて何か意見を述べる。
「それも、神月Aという少女の仕業でしょうか？」
「…！」
俺は一瞬言葉を失った。父さんの口から、彼女の名前が出るなんて思ってもいなかったから。
「…どうしてその名前を」
「最近子供達の話題にその名前がよく出ているのは、私も気付いていましたよ。それにヒロト。今まで、お前に関する話題で他の生徒、まして女性の名前が出るなどありえませんでしたから」
「…」
父さんの優しい目には、俺にしか分からない、強い威圧感があった。
俺の嫌な予感は、どうやら当たったらしい。
「彼女と関わることを、禁じます」
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狩間篤花(プロフ) - リベリさん» コメントありがとうございます！お久しぶりですー(°▽°)二人の関係、楽しんで書かせてもらっています！四章の方で頑張っておりますので、そちらもよろしくお願いいたします(о´∀`о) (2018年1月4日 22時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - お久しぶりです!!本当にいつ見ても感動します!!風介...二人の為に...優しいですね!!どんどんいい方向に進んでいますし、二人が進展する事を願っています!!頑張って下さい!!^ω^/ (2017年10月29日 2時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» 心配をお掛けして申し訳ございません…！出来るだけ更新できるよう、最善を尽くして参ります(о´∀`о) (2017年9月5日 23時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
リベリ - 狩間篤花さん» わぁ...！本当ですか！？嬉しいです！！更新なさっていなかったので、心配しました...！これからも更新頑張って下さい！！ (2017年9月2日 17時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - リベリさん» これから大会編の方も更新していきますので、よろしくお願いいたします(о´∀`о) (2017年9月1日 22時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年6月27日 16時
