◇ ページ22
サッカー部に力を入れているだけあって、俺達の部室はなかなか広い。だから、部活での会議もここで開くことができる。
今日は監督から話があるらしく、部員数分ある椅子は、一つ以外は全て埋まっていた。俺の横に座る緑川が、時計を見ながらスッと手を挙げる。
「先輩、四時ですよ。もう会議始めちゃいましょう？」
「でも、南雲がまだ来てないぞ？」
「あ…晴矢は数学の先生に用があるらしくて、遅れるそうです」
「あぁ、そうなのか」
さっき連絡が入っていたのを思い出し、俺はすぐ先輩に答えた。このまま言わなかったら、危うく晴矢に怒鳴られるところだった。
ホッと一つ息を吐いてから、俺は先輩の方に向き直る。
「まぁ、なら仕方ないか。じゃあ監督、話の方をお願いします」
「よし…始めるぞ。えー、次の試合に向けて、練習方法を少し変更しようと思う。まず、第二試合の相手だが…」
監督が話し始めると、全員が口を閉じる。静かになった部屋の中に、力強い監督の声だけが響きだした。
ホワイトボードに練習方法や相手の情報が書かれていくけど、目に映った文字や監督の言葉も、俺の頭には入ってこない。
「…」
…神月さん、大丈夫かな。風丸君から返事が来ないって落ち込んでいたけど。
＿＿電話も出てくれないし、やっぱり…。
悲しそうな目。それは、彼女にとって風丸君がどれだけ大きな存在なのかを俺に思い知らせるには十分だった。
俺も気になって、授業中も休み時間も、風丸君のことを考えていたけど…。一つだけ、可能性があるとするなら。
＿＿…確かめたいんだよ。お前が、ちゃんとAを任せられるような奴なのか。
あの言葉の意味が、俺が思っていたよりもっと深いものだったのかもしれない。そう思った。
ﾌﾞｰﾌﾞｰ
「ん…」
ポケットの中でスマホが震える。一度なら気にしなかったけど、その音は継続して俺の耳に届いた。
とは言え今は全員での会議中だし、スマホなんて取り出せるわけがない。
布越しに伝わってくるバイブレーションに不快感を抱きつつ、俺はまた視線をホワイトボードに戻した。
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狩間篤花(プロフ) - 夜見さん» コメントありがとうございます(^^)楽しんでいただけているみたいで、本当にうれしいです(°▽°)これからも頑張ります！ (2017年6月3日 18時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
夜見(プロフ) - この作品とっても面白いです、何度も読んでます.....！更新頑張ってください！ (2017年5月30日 23時) (レス) id: 101aec839b (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 凪沙さん» コメントありがとうございます(^^)そんな風に言っていただけるなんて…！これからも面白いと思っていただけるような作品を作っていきたいと思います！(°▽°) (2017年5月30日 18時) (レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - ヒロトオチということで読んでみたのですが…とてつもなく面白かったです((こんな文才が欲しいという尊敬もあるし、ヒロトのちょっとした不器用さとかみんなのキャラとか表現の仕方とか…それにストーリーも面白くてつい、一気読みしてしまいました！ (2017年5月29日 20時) (レス) id: 38003636ff (このIDを非表示/違反報告)
舞優(プロフ) - 狩間篤花さん» はいっ！頑張ってくださいぃぃぃ！ (2017年5月10日 22時) (携帯から) (レス) id: 7761e1fb5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年5月4日 19時
