◇ ページ9
「ふーん、それで怪我したと…」
「珍しいよねー、ヒロトがそんなドジ踏むなんてさっ」
「屋上の神月サンを見てたんだろ？」
「うるさいな…ほっといてよ」
「噂の、夢に出てきた女性か。今年は同じクラスになったんだっけ」
風介は眼鏡をクイッと上げながら、俺の顔を見た。彼は俺を笑ったりはしないけど、その落ち着き具合が、逆に馬鹿にされてるようで嫌な気分だ。
「…うん」
「でも、本当に神月ちゃん可愛いんだよ！涼野も絶対見たらビックリする」
「クラス写真を見せてもらった感じでは、確かに整った顔立ちをしていたな」
「ヒロトも言い訳なんかしないで、認めろよ」
俺はソファーの上でクッションをギュッと抱き締めた。そんなんじゃないのに。
皆にも話してたはずだ。白い髪の綺麗な人が夢に出るんだって。神月さんと、全く同じだって分からないの？
…まぁ、人の夢の話なんてすぐに忘れてしまうか。夢を見た本人だって、どんなに素晴らしい夢でもすぐに忘れてしまうんだから。
神月さんのこと好きなんかじゃない、けど…。彼女は、俺にとって特別な存在だと思うんだ。
「…」
「お前、夢のことまだ本気にしてんの？」
「…本気もなにも、本当のことだよ」
「…どちらにせよ、そういうの気にせず神月さんと接した方がいいと思うよ」
隣に座る緑川が、そっと俺の肩に手を置いた。
「…そうかもしれない、けど」
「皆ー、ご飯出来たわよ」
「…腹減ったぁ、早く食おうぜ！！」
「あっ、南雲フライングッ！」
姉さんの声で、晴矢と緑川はさっさと行ってしまった。
…人の悩みなんて、彼らにはどうでも良いことだろう。しかも、こんなに非現実的な話だし。
「ヒロト、私達も行こう」
「…そうだね」
風介は眼鏡を外して俺に声をかけてくれる。気を遣ってくれているのはすぐに分かった。
でも、風介は控え目にもう一度俺の名前を読ぶ。
「…私は、恋心というものはよく分からないが」
「風介までそういうこと…」
「君の考えを否定する訳じゃない」
宥めるような声で、風介は言った。普段晴矢の相手をしているだけあって、冷静で落ち着いている。
「私もその神月という人は、君にとって特別な人間なんじゃないかと思う。だからこそ、ちゃんと向き合っていくべきだ」
「風介…」
「君が話してくれた夢のこと、私はよく覚えている」
ラッキーカラー
あずきいろ
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狩間篤花(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます(°▽°)世界観としては、単眼のセレーネの平行世界…という設定になっていますので、この先の展開もお楽しみに…(^○^) (2017年4月5日 7時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 単眼のセレーネから来ました!アレスの天秤を舞台にした作品…！展開が楽しみです!にしても神月ちゃんが出てくるとは…！ (2017年4月4日 20時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年4月3日 22時
