☆ ページ36
＿＿三年前。俺がまだ中二で、帝国学園に強化委員として派遣されたばかりのこと。
「どうだ？俺が居なくても…上手くやれてるか？」
隣に座るAは、小さく首を横に振る。俺はそんなAの顔を乱暴につかんで、静かに流れていく涙をジャージの袖で拭いてやった。
「い、痛いよ、一郎太…」
「わざわざ早く練習切り上げてきたのに、いつもの笑顔も見せてくれないのか？」
「っ…だって…」
「ほーらぁ、まだ泣く…」
Aは俺が帝国に行く前から、女子から嫌がらせ…いわゆる、いじめを受けていた。理由は…あまり、よく分からない。
だって、Aには人から嫌われるような面は少しも無い。誰に対しても優しくて、明るいやつだから。
Aが心配だからって、俺は帝国に行かないわけにはいかなかった。円堂もまたそうだった。別の学校の強化委員として、一定期間雷門を離れないといけなくなったんだ。
多分本人が一番不安だったと思う。頼れる人が、誰も居なくて。
それに、Aは真面目すぎるからなんでも真に受けるし、良い子すぎるから親にも先生にもこの話をしたがらなかった。俺も口止めを受けてた。
その代わり、家が隣だったのもあって、毎日Aと言葉を交わしていたけど…。日に日にAの表情が変わっていくのが目に見えて分かった。
「…A」
「学校…苦しいよ…」
俺達が側に居ないのを良いことに、Aへの嫌がらせはどんどんとエスカレートしていったようで、会うたびにAの手足には痣が増えていた。
ある時は鋏で切られたとかで、一部分だけ極端に髪が短くなっていたり。その頃にやっと家族や先生が気付き、全ては終わったけど。
Aは口数も減って、塞ぎこんで。最終的に、学校にも行けなくなった。
「…だから、自分で抱え込むなって言ったのに」
「…だって、皆に…迷惑、かけられないから」
「今の方が、よっぽどAのお父さんにもお母さんにも迷惑なんじゃないか？」
「…うん」
そんな時、何か気分転換にもなればと思って。昔から円堂の影響もあって、Aはサッカーを見るのが好きだったから。
「…なぁ。今度試合があるんだけど、見に来ないか？」
「試合…？」
「永世学園との練習試合。久々に俺のサッカー見に来いよ」
そう思って誘ったこの試合が、全ての始まり。
ラッキーカラー
あずきいろ
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狩間篤花(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます(°▽°)世界観としては、単眼のセレーネの平行世界…という設定になっていますので、この先の展開もお楽しみに…(^○^) (2017年4月5日 7時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 単眼のセレーネから来ました!アレスの天秤を舞台にした作品…！展開が楽しみです!にしても神月ちゃんが出てくるとは…！ (2017年4月4日 20時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年4月3日 22時
