◇ ページ16
「今日はおはようって言えると良いねー」
「うん。前よりは距離も近くなったと思うんだ」
「見てても思うよ。前より話続いてるし、神月ちゃんもヒロトと話してて楽しそう。その調子で行けば、カップル成立…」
「緑川…？」
「…じゃなくて、大親友になれること間違いなし！！」
電車組の俺達は、駅から徒歩で学校に向かう。
自転車通学の生徒が横を通り過ぎて行くのを横目に、緑川と二人で色んな話をしながら登校するんだ。
晴矢は起きるのが遅いから、俺達の乗る電車より一本遅いのに乗る。だから普段は別々だ。たまに彼が早起きな時は一緒に行くけど。
「ん…？」
「どしたのヒロト？」
「いや、あれ…」
校門の前に二人乗りの自転車が止まったのが見えた。片方は間違いなく神月さんで、もう一人は…見たことない人。
…いや。あの髪…どこかで見たことある気がする。
「…別の学校の制服だね。見たところ男の子だけど…」
この距離じゃ、さすがに高校までは判断できない。神月さんが手を振ると、その人は俺達の方へハンドルを傾けた。
「こっちに来るよ？」
「うん…」
あからさまに見るのは申し訳ないと思って、俺は彼とすれ違う瞬間だけちらりと目線を向けた。
…雷門高校の制服だ。
自転車は風を切って俺の横を過ぎる。振り返っても、もう彼の背中は小さくなっていた。
俺の頭に浮かんだ、嫌な予感。
「…神月さん、彼氏居たのかな」
「どーだろ…だとしたら、俺も初耳だよ」
緑川にバレないように、俺はギュッと拳を握りしめた。やっぱり、嫌な気分だ。胸がズキリと痛むような。
「…あっ。基山君、緑川君！おはよーっ」
俺達に気付いた神月さんが、大きく手を振ってくれる。俺の感情を消し去るように、彼女の笑顔が輝いていた。
「おはよう」
「おっはよー、神月ちゃーん！」
緑川は俺を置いて、神月さんの方へ走っていく。
…今日も神月さんに先を越されちゃったな。
「ねーねー、神月ちゃんっ。さっきの子、もしかして神月ちゃんの彼氏？」
「えっ？//」
直球の質問に、神月さんは顔を真っ赤にして、ふるふると首を振った。俺と目が合うと、眉を下げて笑う。
「ただの幼馴染だよ…！//自転車壊れちゃって…家が近いから、送ってもらったの」
ホッとする反面、その笑顔が、今まで以上に遠く感じた。
ラッキーカラー
あずきいろ
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狩間篤花(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます(°▽°)世界観としては、単眼のセレーネの平行世界…という設定になっていますので、この先の展開もお楽しみに…(^○^) (2017年4月5日 7時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 単眼のセレーネから来ました!アレスの天秤を舞台にした作品…！展開が楽しみです!にしても神月ちゃんが出てくるとは…！ (2017年4月4日 20時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年4月3日 22時
