◇ ページ14
＿＿また、隣であの子が歩いている。温かい手で俺の手を握っている。
＿＿夕焼けの淡い光が俺達を照らして、彼女が俺の方を見て笑ったら…
「ん…」
ゆっくりと目を開くと、夢から覚めたはずなのに、まだ茜色の光が俺の視界を照らしていた。寝ぼけているのかと目を擦って起き上がる。
あれ、保健室…？
「…えっ」
窓から差し込んだ夕日が、カーテンの隙間から俺を照らしている。俺、昼休みの前に来たはずなのに…先生、起こしてくれなかったんだ。
グランドから部活の声も聞こえる。どうしよう、絶対部長に怒られる。
俺はスリッパを履いて勢いよくカーテンを開けた。そこには、資料か何かに目を通している先生が居る。くるりと椅子が回って、こちらを向いた。
「あぁ、基山君。お昼休み、何回呼んでも起きないから…いい加減叩き起こそうとしてたところ」
「先生…すみません」
「もうぐっすり眠ってて…サッカー部にも一応言っておいたからね、体調不良で保健室に居ますって」
「はぁ…よかったっ…ありがとうございます」
これで先輩達に怒られずに済む。俺はホッと胸を撫で下ろした。
先生は俺を見て、元気になったみたいねと笑いながら一番奥のベッドへと向かった。
「先生そろそろ出張で出ないといけないから、貴方も起きて。
…ほら、神月さん。もう放課後よ」
心臓が止まったような感覚。
先生が開けたカーテンの向こうには、確かに神月さんが横になっていた。俺が寝ていたベッドと、そう離れていない。
カーテンを挟んでいた、別のベッドだったとは言え…あんなにも近くに神月さんが居たなんて。
眠たそうな横顔は、初めて見る表情。寝ぼけて俺を見つめるその顔も、初めてだ。
でも、夕日に照らされて透き通るその肌は…さっき夢の中で見たのと、全く同じだった。心臓が動き出して、全身にどんどん血を送っていく。
「…あれ。基山君…気付かなかった」
ふにゃりと笑って俺の方へ歩いてくる神月さんに、脈は速くなっていく。出来るだけ自然に、俺も笑って見せた。
「神月さんも、来てたんだ…」
「うん、貧血気味で…。休んだら戻るつもりだったのに、今まで寝ちゃってたみたい」
「俺もだよ」
「えへへ、同じだね。荷物、教室に取りに行こっか」
「…そうだね」
俺は一つ深呼吸をした。これが、仲良くなるチャンスだ。
ラッキーカラー
あずきいろ
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狩間篤花(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます(°▽°)世界観としては、単眼のセレーネの平行世界…という設定になっていますので、この先の展開もお楽しみに…(^○^) (2017年4月5日 7時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 単眼のセレーネから来ました!アレスの天秤を舞台にした作品…！展開が楽しみです!にしても神月ちゃんが出てくるとは…！ (2017年4月4日 20時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年4月3日 22時
