◇ ページ11
「ぷぷっ、神月ちゃんに見られてたんだー」
「最悪だ…絶対、笑われたよ…」
「あの転びっぷりを見て笑わない人は居ないでしょっ」
「俺、本気で落ち込んでるんだよ…？」
授業の合間にある休み時間。俺は緑川の席に行き、朝起こったショックな出来事を話した。彼は他人事だと思って笑ってるけど…。
さっき終わった体育の授業では、いつも以上に足元に気を付けた。もう二度とあんなドジな姿見られたくないし。
「良い風に考えなって。見ていてくれたんだよ？ヒロトが走ってるところ」
「そうだけどさ…」
「心配してもらったんだから、その後ちゃんとお礼は言った？」
俺は机に顔を突っ伏しながら、頷いた。体育後は体が火照って仕方ないけど、お構い無く腕に顔を埋める。
「大丈夫っ、神月ちゃんはそんなのでヒロトを嫌いにならないから」
「そうだとは思うけど、見られたことが恥ずかしいんだよ…」
「そんなの気にしてたら、ただのクラスメイトの壁は破れないよ？」
「…どういう意味？」
少しだけ顔を上げ、緑川の目を見つめた。相当俺の目付きが悪かったのか、緑川は顔を引き吊らせて頬を掻く。
「だから…その…そんな風に、小さいこと気にしてたら…ね？恋愛になんて発展しないって…」
「…そういうんじゃないって、何回言ったら分かるんだよっ！」
「そういうのじゃなくても…！少なくともこのままヒロトが消極的でいたら、神月ちゃんのことよく知れないまま二年生終わっちゃうよ？」
カッとなった熱が、緑川の声で冷めていく。確かにそうかもしれない…恋愛関係になるどうこうの前に、このままじゃ友達にさえなれないかもしれない。
「神月ちゃんはヒロトのこと悪くなんか思ってない。むしろ話しかけてくれたり、チャンスは何度もくれてるだろ？」
「うん…そうだね」
「ちゃんと神月ちゃんのことも考えながら付き合っていかなきゃ。ヒロトばかりが緊張して立ち止まってたら、いつか置いていかれちゃうよ」
…緑川は男女問わず友達が多いから、女の子の気持ちもよく分かってるのか。俺と違って、自分から人に話し掛けていくタイプだし…。
少し、見習わないといけない。
「俺…上手く話せるかな」
「心配ないよ、ゆっくりでいいんだから」
「…うん」
神月さんをもっと知りたい…それならまず、ちゃんと俺から向き合わなきゃならない。
ラッキーカラー
あずきいろ
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狩間篤花(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます(°▽°)世界観としては、単眼のセレーネの平行世界…という設定になっていますので、この先の展開もお楽しみに…(^○^) (2017年4月5日 7時) (
レス) id: 9ce959db1f (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 単眼のセレーネから来ました!アレスの天秤を舞台にした作品…！展開が楽しみです!にしても神月ちゃんが出てくるとは…！ (2017年4月4日 20時) (レス) id: f20ddfb271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2017年4月3日 22時
