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｢はい、えいちゃん｣
綺麗にラッピングされたクッキー。エイジは｢サンキュー｣と受け取った。
｢本命？｣
｢全然？なんなら義理だから｣
｢友でもないんだね｣
バレンタインデー当日。教室内はいつもより騒がしくて。何個貰った貰わないだと競っていたり、友チョコの交換会が行われていた。
ちらっ、と教室の端を見ると、紙袋いっぱいにチョコを持ったそらがどうやら冷やかされているようだった。何度も何度も呼び出されては告白もされている。
｢あ、これえーじくんの！｣
｢私も！｣
｢マジ？サンキュー｣
｢おいエイジー、ご指名｣
｢あいよー｣
……すっかり忘れていた。
｢そうじゃん。えいちゃんもモテるんだ｣
｢気づくの遅っ｣
くしゃっと髪を撫で教室を出ていくエイジに、Aはなんなんだ、と思いつつもう一度そらを見る。するとこっちを見ていたようで思いっきり逸らされた。…こっちもなんなんだ。
とりあえず帰り際でも下駄箱に入れておこう。でも誰からなんて書いてないけど、食べてくれるかな。まあこれなら渡したことに入るだろうし。
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混み合うと面倒なので少し早めに教室をでた。誰かに見られないようにそらの下駄箱を開けると、ちらほら入っているようだ。女の子を意識した可愛らしいラッピングや甘ったるい字で書かれた手紙に、透明な袋に入ってただ金具で止めただけの自分のクッキーが彼女には霞んで見えた。
｢……でもせっかく作ったもんね｣
昔1番好きだと言ってくれたクッキー。味を覚えているかわからないけど、まだ1番好きなクッキーのままだったらいいな。そう願いながら戸を閉めて出口のほうへと歩き出した。
｢ねえ｣
………つもりだった。
｢え？｣
｢はあ、追いついた｣
ぐっ、と掴まれた腕。振り返ると少し息を切らしたそらがいて。Aは言葉が出なかった。
どうしよう、と視線を巡らせていると、そらに真剣な眼差しを向けられる。その圧力に彼を見ない訳にはいかなくて。ぱちり、合わせると。一言目に出てきたのは、｢えいちゃんにあげたの、本命？｣そんな言葉だった。
｢えっ、違う…｣否定すると彼の固かった表情が和らいだ。
｢………じゃあ俺のは？｣
一瞬心臓が止まりそうだった。でも本人にこんなこと聞かれるってことはもしかして……。
彼女は意を決して｢本命です…｣と答えると。
｢やっと貰えた。ずっと待ってたんだから｣
ぎゅっと強く抱き締められた__。
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aykyz(プロフ) - めっちゃ好きです (2019年4月18日 14時) (
レス) id: 3afe2d2f7a (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり(プロフ) - このお話めちゃめちゃ大好きで定期的に読み返しちゃいます笑 これからも楽しみにしてます！ (2019年3月13日 8時) (レス) id: 488a978ab9 (このIDを非表示/違反報告)
もに(プロフ) - むぎちゃさん» あのお話はえいちゃんの49日に合わせて書かせて頂いたので、ある意味これからのお話には関係ございません。ですので今まで通り彼を含めた5人で書かせていただきたいと思っております！ (2019年2月19日 8時) (レス) id: 33f99b4333 (このIDを非表示/違反報告)
もに(プロフ) - モアさん» こちらこそ読んでいただき感謝しかございません。ありがとうございます！ (2019年2月19日 8時) (レス) id: 33f99b4333 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ(プロフ) - これからえいちゃんは出てこないことになりますか？ (2019年2月19日 7時) (レス) id: ff325b6cef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もに | 作成日時：2019年2月12日 11時
