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いつか猫になる日まで(6) ページ6

「にゃーあ」
ありがとうのつもりでひと鳴きして、おそるおそるご飯を口にする。
おいしい…!!!
少々食べにくいのは仕方ない。多分人間のときと味覚も違うんだろう、お米の甘味がダイレクトに感じられてとても美味しい。
乗せた分が終わるとまた少し乗せてふうふうしてそれを俺の前に…というのを何度も繰り返してくれた。
大ちゃんに餌付けされる俺。
「美味しい?」
「にゃ」
あーお腹いっぱい。
流石に全部は食えないな。
「もういいの?」
「にゃあ」
大ちゃんは残ったご飯をパクっと口に入れて、うん、美味しいねと言って笑った。
「お腹いっぱいになった?」
「にゃーう」
すりすりと大ちゃんの腹に体をこすり付けた。うわっ、猫としての本能ってすげー。
大ちゃんは良かったねと言いながら、また俺を片手で抱き上げる。もう片方の手で背中を撫でながらソファに移動。
「いのちゃんは、いつ帰ってくるんだろうなあ」
そう誰に言うともなく呟きながら、大ちゃんはソファにごろんと横になった。その腹の上にちょこんと俺を乗せてくれる。俺は前足に顎を乗せて、大ちゃんの胸の辺りに頭、腹の下の方に足を向けて寝そべった。大ちゃんは腹が温かくて気持ちいいと言って笑った。
独り言が俺のことだというのは、何だか妙に嬉しくて、そして申し訳なかった。俺、ここにいるのに。それを伝えられない。というか、俺が俺だって大ちゃんに伝える手段は幾らだってある。スマホだってパソコンだって、触ろうと思えば触れるんだし、それで大ちゃんに自分の意思を伝えることは出来るけれど、そうしたら大ちゃんがどんな反応するのか怖くて…。

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ひなた(プロフ) - はじめまして。コメントお邪魔します。お話がそろそろ終わりに近づいてきたようで早く結末が読みたい反面、まだずっと読んでいたい、そんな葛藤と戦ってます。すてきなやぶいのありがとうございます。これからも楽しみにしています! (2017年5月6日 0時) (レス) id: 85d71dbfbe (このIDを非表示/違反報告)
浩鈴(プロフ) - Kさん» こんにちは!コメントありがとうございます(*^^*) GW中はコンスタントに更新出来ると思いますのでよろしくおねがいします。 (2017年5月2日 11時) (レス) id: 7e4fbd94f2 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 以前一度コメントを残した者です^^更新分を仕事の前に読んでしまって、引き込まれすぎて「あぁ、、どうしよう( ; _ ; )」という気持ちになってしまいました笑 続きも楽しみに待っています^^ (2017年5月2日 10時) (レス) id: f654da7d4d (このIDを非表示/違反報告)
浩鈴(プロフ) - ゆうみさん» はじめまして!ありがとうございます。 コメント励みになります(*^^*) 半分は越えた…かな?まだまだ続きますのでよろしくお願いします! (2017年4月30日 14時) (レス) id: 7e4fbd94f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - 物語に引き込まれるようにどんどん読み進められます。とても面白いです!更新頑張ってください! (2017年4月30日 14時) (レス) id: c3179f3c1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:浩鈴 | 作成日時:2017年4月13日 0時

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