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眠り姫 (34) ページ50

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「どうだい?まったく昔のまんまだろう?帰りに月面ステーションに寄って最終点検をしたときに、こっちで随分とサイボーグ技術が進んだって話になってさ、全身改造しちまったよ。顔なんて完璧だろ?声もサンプルがあれば、人工声帯でほぼ元通りの声が出せるってんで」
髪は以前より長めではあったが、特徴のある小さな歯やつぶらな瞳まで元の通りだった。
握手をすると相手が脳以外は全身機械なのだと信じがたいほど滑らかな感触の手のひら。動きも表情も全く違和感がない。
「いやあ、アルファケンタウリはすごいところだったよ。同行した地質学者が狂喜してた。あそこの開発計画が実現されれば地球のエネルギー事情も格段に良くなるだろう」
「そうか」
高木は薮を促して歩き始める。
「お前、すっかり白髪になっちまったな?整形はしなかったのか?」
「もう整形するのはやめたんだよ」
「そうだよな。伊野尾も一緒だからな。その分じゃ伊野尾も随分といいおっさんになっているだろう?」
「伊野尾くんは昔とちっとも変わらないさ」
「そうか?あいつ童顔だからなあ…もう何があっても平気だろ?何せ20年も経っているんだ。今更この俺の顔を見たって…」
高木は薮の言葉を聞いているのかいないのか、はっきりとした反応はせずに歩いていき、スペースポートの建物を出て、待っていた自走式の車に乗り込む。
「ちょっと寄るところがあるんだ。付き合ってくれるか?お疲れのところを悪いが」
「ああ、別に構わない」
高木は端末のキーボードを叩いて、行き先を入力した。
「俺の専用車なんだ」
「どこに行く?」
「まあ、着けばわかるさ」
高木はそう言っただけで、それ以上は何も言わなかった。薮もそれ以上何も話さなかった。
そもそも、シャトルの活動報告は全て地球へ送られている。宇宙移民プロジェクトのメンバーである高木が、それを見ていないわけがない。ここで薮が喋らなくても大抵は高木も知っていることなのだ。




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ひなた(プロフ) - はじめまして。コメントお邪魔します。お話がそろそろ終わりに近づいてきたようで早く結末が読みたい反面、まだずっと読んでいたい、そんな葛藤と戦ってます。すてきなやぶいのありがとうございます。これからも楽しみにしています! (2017年5月6日 0時) (レス) id: 85d71dbfbe (このIDを非表示/違反報告)
浩鈴(プロフ) - Kさん» こんにちは!コメントありがとうございます(*^^*) GW中はコンスタントに更新出来ると思いますのでよろしくおねがいします。 (2017年5月2日 11時) (レス) id: 7e4fbd94f2 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 以前一度コメントを残した者です^^更新分を仕事の前に読んでしまって、引き込まれすぎて「あぁ、、どうしよう( ; _ ; )」という気持ちになってしまいました笑 続きも楽しみに待っています^^ (2017年5月2日 10時) (レス) id: f654da7d4d (このIDを非表示/違反報告)
浩鈴(プロフ) - ゆうみさん» はじめまして!ありがとうございます。 コメント励みになります(*^^*) 半分は越えた…かな?まだまだ続きますのでよろしくお願いします! (2017年4月30日 14時) (レス) id: 7e4fbd94f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - 物語に引き込まれるようにどんどん読み進められます。とても面白いです!更新頑張ってください! (2017年4月30日 14時) (レス) id: c3179f3c1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:浩鈴 | 作成日時:2017年4月13日 0時

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