眠り姫 (33) ページ49
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20年という時は、この宇宙の歴史の中では１億分の1にも満たない時間なのに。
「…俺の髪はもう真っ白に霜が降りてしまったなあ…」
開発が進み、20年前とは全く様相の違うスペースポートの建物の中、高木は自分専用の部屋から外の景色を眺めていた。壁一面のガラスに老いた高木の姿が映り、その向こうにスペースポートの着陸コースが広がっている。薮＝エースは20年の探検旅行を終え、今日帰ってくる。それを迎えに高木は老体に鞭を打ってスペースポートまでやってきたのだった。
「伊野尾くん…目覚めの時が来たようだよ」
高木は呟いた。
低く絞った音声がスピーカーから聞こえてくる。スペースシャトルの出発と到着は、20年前も今も変わらず一大イベントとして地球上の全てで生中継されている。
スペースポートにもシャトルを見るために大勢の人間が集まっており、フェンスの外側から到着したばかりシャトルを見つめている人々、ポートの建物の中で更に詳細に見られる中継画面を見つめている人々、乗務員が降りてくるのを待っている管制塔の職員たち。
シャトルの扉が開く。乗務員たちが出てくるのを待ち構えていた人々が、最初に出てきた乗組員の姿を見てざわつき始める。20年経った後でもシャトルパイロットは特別な職業である。人々は20年前に事故で死んだとされているシャトルパイロット・薮宏太のことを忘れていなかった。 最初に姿を現した乗組員こそ皆が忘れもしない薮宏太その人だったのだ。
「薮くん…？」
あまりの出来事に、杖をつきながらスペースポート内の通路を高木は急ぐ。普通に歩くには支障はないが、走るのには随分と不自由になってしまった。この先はシャトル乗務員の控え室だ。関係者も本当に上層部の人間か、直接の任務がある職員しか入れないエリアである。
「高木！」
聞き覚えのある声が聴こえてきた方向へ、高木は顔をゆっくりと向けた。
「…薮くん！」
高木の前に立っていたのは、記憶しているままの、若々しい薮宏太の姿であった。
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ひなた(プロフ) - はじめまして。コメントお邪魔します。お話がそろそろ終わりに近づいてきたようで早く結末が読みたい反面、まだずっと読んでいたい、そんな葛藤と戦ってます。すてきなやぶいのありがとうございます。これからも楽しみにしています！ (2017年5月6日 0時) (
レス) id: 85d71dbfbe (このIDを非表示/違反報告)
浩鈴(プロフ) - Kさん» こんにちは！コメントありがとうございます(*^^*) GW中はコンスタントに更新出来ると思いますのでよろしくおねがいします。 (2017年5月2日 11時) (レス) id: 7e4fbd94f2 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 以前一度コメントを残した者です＾＾更新分を仕事の前に読んでしまって、引き込まれすぎて「あぁ、、どうしよう( ; _ ; )」という気持ちになってしまいました笑 続きも楽しみに待っています＾＾ (2017年5月2日 10時) (レス) id: f654da7d4d (このIDを非表示/違反報告)
浩鈴(プロフ) - ゆうみさん» はじめまして！ありがとうございます。 コメント励みになります(*^^*) 半分は越えた…かな？まだまだ続きますのでよろしくお願いします！ (2017年4月30日 14時) (レス) id: 7e4fbd94f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - 物語に引き込まれるようにどんどん読み進められます。とても面白いです！更新頑張ってください！ (2017年4月30日 14時) (レス) id: c3179f3c1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：浩鈴 | 作成日時：2017年4月13日 0時
