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眠り姫 (32) ページ48

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「悪い夢を見ているのかな…高木がそんなことを言うなんて」
「伊野尾くん!」
マザーコンピューターは何をやっているのかと高木はちらっと考える。出来ないとは言ったが、伊野尾がここに来てから、常にこの部屋をモニタリングしているのはわかっているのだ。
「じゃ、行くね。また20年後に」
笑顔でそう言って部屋を出て行こうとする伊野尾の背中を見つめていると胸が張り裂けそうだった。
「伊野尾くん!」
高木は叫んだ。伊野尾は立ち止まる。
「夢じゃない!これは現実だ!お願いだから行かないで…俺と一緒に老いてくれ…!」
伊野尾はゆっくりと振り返り、そして薄く微笑んだ。その目はつい先程とは違い、深い湖のように静まり返っていた。
「…薮は生きているよ。さよなら、高木。短い間だったけどありがとう」
そう言って伊野尾は出て行った。
しばらく動けなかった高木は、ゆっくりと頭を横に振った。
「俺としたことが…」
伊野尾が出て行ったドアを見つめる。
「言うべきではなかった…長年の友情を辱めてしまった」
自嘲的に笑う。
『プロフェッサー・高木』
穏やかで優しげなマザーコンピューターの音声がモニタースピーカーから聞こえてきた瞬間、高木は手元にあった何かのリモコンを発作的にモニタースピーカーの設置してある壁面に叩き付けた。
「今頃のこのこと出てくるんじゃない!この役立たずがっ!」
生まれて初めてマザーコンピューターに悪態をついたな、と心の片隅で考えながら。




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ひなた(プロフ) - はじめまして。コメントお邪魔します。お話がそろそろ終わりに近づいてきたようで早く結末が読みたい反面、まだずっと読んでいたい、そんな葛藤と戦ってます。すてきなやぶいのありがとうございます。これからも楽しみにしています! (2017年5月6日 0時) (レス) id: 85d71dbfbe (このIDを非表示/違反報告)
浩鈴(プロフ) - Kさん» こんにちは!コメントありがとうございます(*^^*) GW中はコンスタントに更新出来ると思いますのでよろしくおねがいします。 (2017年5月2日 11時) (レス) id: 7e4fbd94f2 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 以前一度コメントを残した者です^^更新分を仕事の前に読んでしまって、引き込まれすぎて「あぁ、、どうしよう( ; _ ; )」という気持ちになってしまいました笑 続きも楽しみに待っています^^ (2017年5月2日 10時) (レス) id: f654da7d4d (このIDを非表示/違反報告)
浩鈴(プロフ) - ゆうみさん» はじめまして!ありがとうございます。 コメント励みになります(*^^*) 半分は越えた…かな?まだまだ続きますのでよろしくお願いします! (2017年4月30日 14時) (レス) id: 7e4fbd94f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - 物語に引き込まれるようにどんどん読み進められます。とても面白いです!更新頑張ってください! (2017年4月30日 14時) (レス) id: c3179f3c1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:浩鈴 | 作成日時:2017年4月13日 0時

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